海外からの送金を満額で受け取れない。こんな悩みをよく聞きます。
相手は確かに満額で銀行に依頼してくれたのだけど、日本に来てみるとしっかり減っている!
なんでこんなことになるんだ。こういったご相談が本当に多いです。
じつはこれ、海外送金は送金を取り組んだ銀行(仕向銀行)と、送金を受け取る銀行(被仕向銀行)の間に、第三の銀行(経由銀行)が入る場合が多いからなのです。
なんでそんな余計なことをするのか。そう思われるのも尤もです。これには理由があります。例えばUSD建ての送金であれば、まずほとんどの場合ニューヨークを経由します。仕向銀行も被仕向銀行もその方が早くて確実ですし、お互いの資金効率も良好になります。
ただニューヨークでの資金受け渡しに際し、直接出来れば良いのですが、そうでない場合は第三の銀行(経由銀行)を通すことになります。この場合経由銀行は、タダでは資金受け渡しをやってくれません。手数料を取ってきます。
その際一番手っ取り早くて確実なのが、当該送金そのものから差し引いてしまうやり方です。これでおわかり頂けますでしょうか。金額が減ってしまう仕組み。
このこと自体は違法でもなければ、商慣習違反でもないし、受益者負担の原則からいって、クレームするのは困難です。
そこでここでは出来るだけこんな状況を回避するために、以下の三つの手段をお勧めしたいと思います。
一番目は、手数料をすべて送金依頼人に負担して貰う事です。海外送金は手数料受取人負担が原則ですが、依頼人負担ももちろんありです。惜しむらくはこの指示に強制力は無いので、経由銀行が守ってくれるかどうかは、先方任せになってしまいます。しかし実務の現場から見れば、結構有効に機能している印象があります。
特に日本の銀行はよくこの指示を守るので、日本に送金が到着して口座入金時の手数料も、仕向銀行に請求してくれます。本当に満額で受け取れるわけです。
二番目は送金通貨を日本円にして貰う手です。日本円の決済はほぼ全件、日本国内で行われますので、先ほどお話ししたニューヨークの経由銀行に当たる存在が、東京の邦銀になる訳です。この場合、円決済は日銀を通じて行いますので、ノーチャージすなわち無手数料で行われる可能性が、非常に高いといえます。結果として満額入金が期待出来ます。
三番目が仕向銀行に、邦銀の海外支店を使って貰う事です。さらにその邦銀が、自分の取引銀行であれば尚良しです。これは本支店か送金を狙ったものです。これであれば細かな指示も期待できる上に、万一トラブルが発生したときでも親身の対応が期待できます。
以上が三つの手段ですが、各々を独立させる必要はありません。合わせ技もOKですので、是非トライしてみて下さい。
2019/02/21