このごろ新聞やネット上で、オプション取引とかスワップ取引とか、何やら東京地検特捜部絡みで話が飛び交っています。
なんとなくみんな一応の理解が有るようなのですが、折角の機会なので、この場で整理してみたいと思います。
このオプション取引・スワップ取引というのは、デリバティブ取引の一種で、金融派生商品を対象とした取引です。本来の商取引とは異なります。
余り大きな声では言えませんが、目に見えないが頭で考えたもの。こんな理解でもとりあえずOKです。
しかしやはりこれではサッパリ分かりません。少し具体的に見てみます。
先ずオプション取引です。
これは日本語では選択権取引と言われます。これはオプションを持った側がこのオプションの権利を、行使するかしないか、選択権を持っていることに由来します。取引相手にオプション料を支払ってこの権利を入手しますが、自分に有利にしようとするとこのオプション料が跳ね上がり、取引としては非常にうま味がなくなってしまいます。
このオプション料の負担を消すために、逆サイドのオプションをかけることもあります、これをやるとリスクが大きくなることも多々有りで、大きな問題になってました。これゼロコストオプションと呼んでましたが。「なにがゼロなもんか」と心の中で思ってたのも事実です。
次にスワップ取引です。
これは日本語で言うと、交換取引でしょうか。すなわち通貨を交換したり、金利を交換したりします。一番分かり易いのは、変動金利と固定金利の交換です。いま変動金利の借入をしていた場合、近い将来金利が上昇する。
こう判断した場合、変動金利の借入はそのままにして、変動金利の渡し・固定金利の受け、このスワップ取引を締結します。
これで借入金利は固定化され、将来の金利上昇リスクがヘッジできます。
以上オプション取引、スワップ取引と見てきました。じつはこれらの取引自体に犯罪性は全くありません。にもかかわらず「デリバティブ取引=諸悪の根源」。
こんな図式が出て来そうな気がします。過去の既視感からだと思います。この件の最大当事者の方は、自らが最高経営幹部であることは自覚され、相当程度以上の報酬を当然受ける権利を有するという認識のもと、デリバティブ取引をされたようです。この時損失が発生しなければ、どこにも損失付替などする必要は無く、今回のような疑いは発生しなかったはずです。
しかし発生した損失を会社に付け替えようとしたり、証券取引等監視委員会の指摘で元に戻して、その際に海外から保証を取り付けたりと、複雑なことをされました。これらは本来の取引とは無縁のものです。
私としては取引当事者の銀行が、最善の対応をしたのか。大変気にしています。ここが明らかになると、事件の全容がより明確になると思います。
2019/01/25