銀行で外為を長年やっているとお客様にも様々な人がいるなあ。本当にそう感じます。その筆頭が在日華僑の人達です。よく言われるように華僑の人々は大変に地縁や血縁を大事にします。私は神戸と横浜で華僑商社を担当していましたが、この地縁・血縁については、いずれの場所でも強く感じました。 |在日華僑とのお付き合い

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2018.12.25

在日華僑とのお付き合い

pic_bank_20181225

銀行で外為を長年やっていると、お客様にも様々な人がいるなあ。

本当にそう感じます。その筆頭が在日華僑の人達です。

印僑(インド人)の人達の方が、インパクトありという人もいますが、私は中国や台湾からの人々のほうが、強く印象に残っています。

よく言われるように華僑の人々は、大変に地縁や血縁を大事にします。

私は神戸と横浜で華僑商社を担当していましたが、この地縁、血縁については、いずれの場所でも強く感じました。この感覚、上手くいえないのですが、対応を間違うと取引に応じてもらえません。私の所属した銀行も勿論ですが、他の日本の銀行も多くの場合、この対応がお世辞にも上手とは言えなくて、華僑とは取引内容が限定されていました。

しかし、そんな状況でも一度信頼関係が出来上がると、銀行取引は全部お任せの状態になります。全て分かった上で銀行にも商売をさせてくれます。本当に大人の取引先だと、いつも感じていました。ただ大人の取引をして貰うにはいくつかポイントがあります。

その一番目は、法人と取引しても個人から担保を取れない。です。よく銀行は中小企業取引をするときにその会社だけでなく、社長個人(場合によっては家族)にも目を向けます。法人はボロボロでも個人は大金持ち。こんな例はざらだからです。法人単体ではとても取引出来なくても、社長や家族から担保を貰えば、安心して取引出来ます。

ところが華僑の場合、個人資産がさっぱり分かりません。家族構成程度は社長との雑談で分かるのですが、社長個人はもちろん、家族の資産など全く手がかりも貰えません。

よく本部に外為稟議を挙げると承認条件に、
「個人資産調査の上、報告のこと。」
と指示がありました。

が、華僑に限ってはこの点は、ほぼ全滅でした。調査しても詳細は不明。社長の自宅の不動産評価のみ報告。これぐらいで、本部に納得してもらっていました。本部も心得たもので、取引を止めろとは言ってきませんでした。ある程度、華僑の特殊性は理解していたようです。

二番目は、担当者として気に入って貰う必要がある。です。大企業なら、相手が気に入らなくても仕事と割り切りますが、華僑の場合は、嫌われると全く取引してもらえません。逆に一旦好かれると、それこそ丸ごと為替を、持ち込んでもらえるようになります。

この辺の勘所が難しく、担当者交替で持ち込みが、急減したり急増したりして大いに閉口したことがあります。最初は面食らったのですが、事情が分かってからは、そのようなときはすぐに自分が出張ったり、上席の出馬を仰いだり、銀行全体として今まで通りのお付き合いを強く望んでいる。このスタイルを貫きました。

今から思っても華僑取引は大変でしたが、勉強になることが多く、その後の営業活動にも、大いに参考にしたものです。

2018/12/25

貿易と銀行実務の関連記事