インコタームズは貿易取引条件とも呼ばれる重要な取引概念です。銀行は直接貿易にタッチしませんが、間接的にはインコタームズと関係する部署があります。外為の部署は大きくドキュメンタリー部門とクリーン部門に分かれます。輸出入書類を取り扱う部門すなわちドキュメンタリー部門でさらに輸入部門より輸出部門の方が接点は多いです。|銀行におけるインコタームズと外為

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公開日:2018.05.16

銀行におけるインコタームズと外為

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インコタームズは貿易取引条件とも呼ばれる、大変重要な取引概念です。

多くの貿易担当者の皆さんにとって、インコタームズのどの条件が取引に用いられるかが、仕事量やコストに直接響くので、常に意識されていると思います。

翻って銀行はどうでしょうか。銀行は直接貿易にタッチしませんが、間接的にはインコタームズと関係する部署があります。

今回のお話は、ここに着目したインコタームズと外為の関係です。

外為の部署は大きくドキュメンタリー部門とクリーン部門に分かれます。(以下それぞれドキュメンタリー、クリーンと呼びます。)この両者の違いは、実際の輸出入書類を取り扱うかどうかです。ドキュメンタリーは扱う。クリーンは扱わない。この区分けになります。

そしてインコタームズとの接点を持つ部門は、輸出入書類を取り扱う部門、すなわちドキュメンタリーになります。さらに細かく見ていくとドキュメンタリーの中では、輸入部門より輸出部門の方が接点は多いです。

そこで今回のお話は輸出部門が中心となります。さてここでのポイントは、輸出者が持ち込んだ書類にあります。輸出者は自らの船積書類を銀行に持ち込んで、買取をして貰うことにより輸出代金を回収します。(ここはよく手形割引類似の行為と紹介される所です)銀行は買取をする際に必ず書類を点検します。

この点検作業の中にインコタームズの確認が含まれているのです。と言っても、インコタームズ条件が契約内容と一致しているか。とか、実際の貨物がインコタームズ通りの取り扱いか。などと点検するわけではありません。

過去何回かこのコラムでも触れましたが、銀行では書類がすべてです。それ以外のことには一切タッチしません。つまりインコタームズも、書類の中の記載事項の一部として見ます。ここでは信用状付き取引について見ていきたいと思います。

ご承知のように信用状付き取引では、銀行に提出した書類は、信用状に書かれた条件と一致していなければ、銀行に買い取って貰うことが出来ません。(大原則です)信用状にはインボイスに関する項目が書かれています。
これがいささか難物で、信用状通りの記載が必須となります。

そしてここにはインコタームズが必ず書かれています。我々はこの部分を「建値(たてね)」と呼んでいました。ここが一致してくれなければ困るので、必死に見ざるを得ません。最初の頃は深い意味も知らず、「EXW」だの「FCA」だのと見ますが、やがてそれでは足りないことに気づかされます。

これは書類相互間の一致という原則があるからです。これは信用状のどこにも書いてませんが、いくら信用状と船積み書類が個々に一致していても、全体として書類を見た場合、相互に矛盾してはいけないという原則です。

これはある程度熟練しないと見極められないのですが、インボイスと保険証券、船荷証券相互間の一致が、特に重要とされています。つまりインボイスで「FCA」なのに、船荷証券は「Freight Prepaid」。これは矛盾。こういうことです。

なにやら藪から棒の気がしますが、信用状統一規則や銀行のルールとは別物といえます。しかしこのような話は多々あったのも事実で、如何にこれらの知見を集積し、共有し活用するかは、常に大きな問題でした。

今ならAIの得意分野かもしれませんが、まだまだ人間の力が必要な部分でもあると思っています。機会が有ればもう少し詳しくお話ししたいと思います。

2018/05/16

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