銀行に外為や融資を依頼すると、よく「これは長期ですね」とか、「これは短期なので」という言葉が返ってきます。
「長期なので審査に時間が掛かります。」
「短期であれば問題ないでしょう。」
こんな具合です。
これって何を基準に使い分けているのでしょうか。
またそれを知っておけば、何かメリットはあるのでしょうか。
今回はこの少々ディープな話に、焦点を当てたいと思います。
まず長短の分岐点捜しです。これはどの銀行もまず同じです。スタート時点から一年後の応当日が分岐点となります。もし応当日が銀行休業日であれば、その翌営業日となります。そしてこの一年を境にしてそれ以内であれば「短期」、それを越えれば「長期」と区分するわけです。
さらにこの区分点を境にして、適用金利体系が変わります。期間リスクを考えて、長期の方が短期より高めとなります。また案件審査のハードルも、一般的に長期の方が高くなります。この一年という考え方は、企業会計での「ワン・イヤー・ルール」
(一年基準)とほぼ同じです。
銀行によっては期間区分を、もう少し細かくする場合もあります。たとえば短期の中でも、三ヶ月以内の物を「極短期」、十年超の物を「超長期」という具合です。この区分の意味は、次のように表現できます。
「極短期」:スタート時点から最終期日まで三ヶ月以内。銀行としてリスク期間は極めて短いといえます。
「超長期」:スタートして十年たっても最終期日は来ないので、リスク期間は極めて長いといえます。
このリスクの考え方は、銀行の審査体系にも影響します。「短期」であれば、金額にもよりますが営業店長決裁のものが、「超長期」となると、預金を担保とする場合や住宅ローンのような特殊なものを除き、すべて本部決裁になります。この場合、本部決裁の方が当然ハードルが高くなります。
なお上記記述で「短期」として「極短期」としなかったのは、審査をするときに「短期」と「極短期」に明確な基準分けはなく、二つを比較すれば相対的に「極短期」の方が、審査が通りやすいという状況を示すにとどまるからです。なおこれら以外に3~5年ぐらいまでの、「中期」と呼ばれるものがあります。これは長期の内訳としての意味合いが強い概念です。つまり「長期」とはいえるが、短期的な性格合わせ持っている。こんな期間概念です。どちらかと言えばお客様に対するものというよりも、銀行内部での与信管理上の要請といえるでしょう。
このように期間の長短によって、審査のハードルが上下しますので、銀行に頼む場合は金額や内容だけでなく、期間も考慮して申し込むと良いと思います。具体的にはできる限り短くすることをお勧めします。過去の例では、USD10百万の信用状開設依頼があったときに、金額としては本部稟議にならざるを得なかったのですが、期間を一ヶ月と短くして申し込んで貰ったために、本部との事前打ち合わせがスムーズにいき、担当審査役から「分かりました。その内容で稟議を上げて下さい。」との発言を引き出して、審査のハードルを下げたことがあります。
銀行にものを頼むときはできる限り短期にする。これもちょっとしたコツだと思います。
2018/03/29