前回はこの事態の背景を説明しましたので、今回はその続編として初動編をお送りします。
実際の協会の論壇では、いろいろな人が自らの信条に従って、様々な意見を述べており百家争鳴の状況でした。
そこでこれらの意見を、私なりに整理をしてお話ししたいと思います。
皆さんが異口同音におっしゃっていたのが、次の各点です。
1.貨物の確認(今どこにあるのか。中身は合っているのか。)
2.契約の確認(契約書そのものと契約内容の両方です。)
3.輸出者(在英国)の対応状況
順番に説明していきます。
まず1.貨物の確認です。
どの港のどこに保管されているのか、確認する必要があります。また書類上ではありますが、積荷の中身を確認する必要もあります。
次に2.契約の確認です。
この二つ目は言われてみればその通りです。こんな状況では貨物の所在や滞船料にばかり目が行きますが、そもそもの契約の確認も忘れてはなりません。確認すべきは、契約書類の不備欠缺(ふびけんけつ)です。
立派な契約書なのに相手の署名が無かった!なんてこともあります。さらに変な条項が含まれていないかも確認します。契約書には「紛争処理条項(紛争解決条項)」が通常あります。トラブル発生時の対応についての条項です。ここに変なこと(自分に不利益なこと)が書かれていないか確認します。
過去、ここに「トラブル時には当事者全員が誠実に解決にあたる。」という一見当たり前の条項に、「当事者は責任の有無に係わらず」と、さらっと言葉が追加されており、日本側は全く責任が無いにも関わらず、事態解決の責任の一端を負わされるという、極めて理不尽な事態がありました。
ここまでは相手の反応を待つ必要はなく、即実行できるものです。
そして3番目は、相手に強く言い込むことです。
言い込む内容は、「まったく当方に責任は無い。こちらは大変迷惑している。」「もう一度徹底的に捜して、その結果を報告してほしい。」「本件への当方の対応は、すべてそちらの責任と費用負担である。」
以上のようなものでした。
これも手分けして行えば、そんなに時間のかかる話ではありません。銀行員では思いつかない点もあり、
さすがにその道のプロは違うわい。と思わせるものがありました。
次回はこれを受けて論壇で飛び交った、具体的な解決方法についてお話しします。
2017/09/16