私の所属する(一般社団法人)貿易アドバイザー協会で、最近「ある議論」が巻き起こりました。
この議論、私にとっても大変に参考になるものでした。折角の機会ですので皆さんにもぜひお伝えしたく、今回から回を分けてお話してみたいと思います。
そこでの議論の中身は多岐に亘りましたが、随所に飛び出す専門家の知見が、私には大いに参考になりました。
常日頃、貿易に携わる皆さんにとっても役に立つのではと思い、このコラムでもご紹介する次第です。
ところで本題に入る前に、「貿易アドバイザー協会」ってなに?と疑問を持つ人のために説明を少々。
貿易アドバイザー協会はジェトロ(日本貿易振興機構)で実施していた、貿易アドバイザー試験に合格した「貿易アドバイザー」の有志が、1996年に立ち上げたものです。
メーカー、商社、銀行、保険、通関業者等の現役・OBが所属し、日本唯一の貿易エキスパートの集団として、関係各位から好評価を頂いています。
今回のように会員自らが専門外の案件に関して、他の会員に相談を持ちかけると全員が一丸となって対応する。という極めて優れた特性があります。若干手前味噌になりました。さて本題に戻ります。
議論の発端はある銀行の担当者が、顧客から受けた相談です。
この顧客は、英国の業者から輸入をしようとしました。(ものが何かは明らかにされてはいません)決済条件は後払い送金で、その点ではノーリスクの取引でした。こんなスキームの輸入案件だったのですが、なんと輸出者が、B/L(船荷証券)を全通紛失してしまったのです。(もちろん日本に送る前の話です)
銀行担当者が相談を受けたときには、貨物はすでに日本に到着していて、滞船料も発生している状態だったのです。輸入者は当然、輸出者に対して善処を求め、輸入者もB/L再発行を船会社と折衝したのですが、INVOICE価格の2倍の保証金を要求され、金策が付かず難航しているとの事でした。
輸入者としては是非荷物は引き取りたいのだが、輸出者に非のあるこの話に、変にコミットしたくない。どうすれば上手く解決するだろうか。これが相談内容でした。
貿易をしていれば皆さんも一度や二度はこの類の話を、見聞きされているのではないでしょうか。この事態を受けた銀行担当者は、教科書的対応は兎も角として、たまたま自分が貿易アドバイザー協会のメンバーでしたので、勇躍(?)各メンバーに意見を求め、ここに全員参加の討論が始まりました。
以下は次回に譲りたいと思います。
2017/09/08