取引銀行が合併したとなるといろいろ影響が出る可能性があります。どんな点に留意や注意しないといけないのか、気になる4点を整理してみました。 |取引銀行が合併した(その2)気になる4点

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2017.03.28

取引銀行が合併した(その2)気になる4点

pic_bank_201703262

前回に引き続き、取引銀行が合併した時のお話です。

前回銀行の合併では、主導権を握った銀行はどちらか?この見極めが重要と申し上げました。

これは以下の点と密接に関連するからです。ここで注目すべきは以下の4点です。(前回同数ですが偶然です)

1点目:取引店は統合対象ではないか

銀行の店舗は駅前や繁華街の一等地が多く、合併で同じ銀行が二つ並ぶということがよくあります。同じ商圏に二つも要りませんから、真っ先にこのタイプが統合対象となります。しかしこのごろは、店が離れていても安心できません。効率化の名のもとに、離れていても統合する場合があります。自分の取引店が対象かどうか、確かめて下さい。特に「被合併行」が取引銀行なら確認は必須です。

2点目: 口座番号が変更になるかも

前回4点目でお話しした、基幹システムに密接な関係があるのですが、システムが変わると口座番号体系も変わるため、従来の口座番号が変更になる事が頻発します。商売上これは大変に困ります。よくお客様から「合併で何が困ると言って、口座番号が変わる事が一番困る。」とよく聞かされました。

そう言われてもどうしようもないのですが、利用者としては注意すべき点です。なおこの場合は自分の取引店が「合併行」サイドだと言っても安心できません。二つの店が一緒になり口座番号が重複すると、銀行は特段どちらサイドの口座かは意識せずに、機械的に番号を変更してしまうことがあります。(過去の例では、口座開設日の新しい方を変更しました。)

3点目: 融資シェアの見直し

銀行は他行動向に「異常に」敏感です。銀行担当者は自分の担当先が複数銀行と取引している場合は、銀行別の融資残高の割合(これを融資シェアといいます)推移に最大の関心を向けます。合併はこの融資シェアを大きく動かします。いままでよその銀行と思っていた数字が、自分の銀行の数字になるのですから、半端な話ではありません。

この場合、新銀行として合計した融資残高を、そのまま引き継ぐのなら問題はありません。しかし残高調整をして融資シェアを見直すのなら問題です。多くすることはまずないので、残高の縮小を考えることになります。

これはお客様から見れば、融資の一部引き上げです。もし自社の業況が良くなかったり、銀行との関係が今一つであるなら、融資の返済を求められるかもしれません。これは非常に大きな問題になる可能性があります。合併の時は注意してください。

4点目: 銀行持株の放出

今までの3点に比べれば、はるかにその例は少ないのですが、自社株を銀行に保有してもらっている場合があります。(株式は上場、未上場を問いません)合併すると銀行はあなたの会社の株を手放す。こう通告してくるかもしれません。

いきなり「手放す」と言われても、すぐに代わりが見つかるとは限りません。昔なら株式持ち合いも多くありましたが、今では持ち合い解消がトレンドです。

銀行の持ち株放出は融資引き揚げと異なり、持ってもらっている会社側としては抵抗しにくい面があります。株を持ってもらっている場合は、放出の可能性に留意してください。

以上で銀行の合併にまつわるお話は、終了させていただきます。

2017/03/28

貿易と銀行実務の関連記事