マイナンバーと言えば、国内取引が対象と考えがちですが、実は外為でも必要になる事があります。今回はその点についてお話しします。
マイナンバーそのものについては、イロイロと発表されているので、ここではあえて触れないようにしますが、皆さんのお手元にも、マイナンバーが記載された、通知カードが届いている事と思います。
正直言ってここにある12桁の数字を見ても、愛着もわきませんしとても覚える気もしません。とりあえず無くさないようにしておこう。こんな気持ちの人がほとんどと思います。
しかしこのマイナンバー、必要な場面が着実に増えています。例えば証券会社の口座を開くときや、税務署に確定申告をしようとするとき必要になります。このような行為の中に、銀行取引もあるのです。しかも一見まったく無関係に見える外為取引に、マイナンバーの申告が必要なのです。
ではどのような場面なのでしょうか?
想像なんかする方が、無理でしょうね。私も最初に聞いたとき、一瞬グッと詰まりましたから。答えをお話しすると、マイナンバーが必要になるのは、海外送金や、海外からの送金受取の場面なのです。但し正確には、銀行との取引に必要なのではなく、銀行が当局に報告するために必要なのです。
そうなると別の疑問が湧いてきます。
銀行は何をどこに報告しているのだろう。こんな疑問です。答えは「銀行は取り扱った海外との資金のやり取りをすべて、税務署に報告している。」です。正確には「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(いわゆる「国外送金等調書法」)という法律に基づいて、一件当たり100万円相当額超の送金取引を報告しているのです。銀行が報告義務者なのですが、この国外送金等調書の右下の部分に、マイナンバーを記入されるように様式が改まっています。
(2016年1月1日からです)
この結果として銀行は、皆さんにマイナンバーの申告を求めてくるわけです。ただ現時点では銀行の対応は一律ではありません。これは3年間の猶予期間があり、その間にマインナンバーの申告を受ければいいと考えるか、やがて必ず必要なのだから早めに申告を受けようと考えるかの違いのようです。
とは言え法律で定められたことですので、いずれマイナンバーを届出はしなければなりません。ただ個人番号カード(通知カードではなく写真付きのもの)の認知度が今一つのため、このような手続きの本人確認に、別の本人確認資料が必要となるといった、奇妙な現象が起きているようなので注意が必要です。
もちろん個人番号カードが、マイナンバー制度では一番の確認資料であることは論を待ちません。この点をもっと周知徹底すべきと思いますが、3年間の猶予期間もあり、お役所の対応が今一つピリッとしないため、銀行の対応もまちまちと考えられます。
2017/02/27