銀行の外為計算書を見て、不思議に思う人はいませんか。消費税が付いていたり、付いて無かったり。いったいなんでこうなるのか。一度整理してみる必要がありそうです。今回はそんな外為と消費税のお話です。
消費税が初めて導入されたのは、1989年4月のことでした。1989年といえば昭和64年であり平成元年でもあります。もうずいぶん昔の話になってしまいました。消費税の歩みは平成と大いに重なると思いませんか。私とすれば28年もたったのか、というのが正直なところです。
さてこの消費税ですが、広くいろいろな場面で出くわします。でも外為取引ではめったに目にすることはありません。なぜでしょうか?
じつは外為取引が消費税の課税対象としていない取引すなわち非課税取引に該当しているからなのです。法律上は非課税とする項目の一つとして、「外国為替業務に係る役務の提供」を挙げており、これが税金のかからない根拠となっています。
つまり本来課税対象としてもいいのだが、対象としてなじまないと政府が判断して、非課税の取扱をしているわけです。ちょっとややこしい話になりますが、これに対して元々対象外となる取引を「不課税取引」といいます。一見すると外為取引はこれに該当しそうですが、税務当局の考え方は、外為取引はあくまでも非課税取引です。
時々、外為取引に消費税は関係ない。と言い切る人がいます。外為取引の特殊性を踏まえての発言と言えますが、これを強調しすぎると外為取引=「不課税取引」と、誤認するようになりかねません。個人の主張は兎も角として、税務当局はあくまで、外為は「非課税取引」であるとしている点に注意が必要です。
さて外為取引が非課税取引であるのは理解できたとして、では外為と名が付けばすべて非課税か、というとそうではありません。ここが話をややこしくしています。
これはある意味きめの問題なのですが、税務当局として外為取引そのものは非課税取引としても、その周辺業務は非課税取引とは認めていません。たとえば海外送金手数料は非課税でも、外為WEB取引の手数料は課税取引とする。このような感じです。
このような背景で外為の計算書には、消費税があるものと無いものが出てくるのです。
銀行計算書の内容を疑う人は少ないと思いますが、外為取引に関しては、消費税がかかっているかどうかを、一度確認してみることをお勧めします。
2017/01/28