海外送金を銀行に頼むと、予想外に早く着いたり、ひどく遅かったりすることがあります。原因を銀行に聞いても、明確な答えはありません。なぜバラつくのでしょうか。今回はこの点を考えてみます。
海外に送金を頼むと同じ銀行の同じ相手に送っても、早く着いたり遅く着いたりします。早い分はいいのですが、遅いとクレームになりかねません。銀行に照会しても通信事情とか、先方事情といわれ、判然としない場合が多いようです。
実は原因はいくつか考えられます。
其の一番目は、海外送金では日本銀行のような便利な決済機関がない事です。日本銀行は「銀行の銀行」として、国内銀行間の資金決済を、一手に引き受けています。
海外送金ではそういう便利な決済金融機関がないので、送金を受けた銀行は、受取人の口座がある銀行との資金受渡しを、どこの金融機関で行うか一件ごとに決めなければなりません。
いわば送金のルート決めを行うわけです。ただほとんどの場合、事前に通貨ごとのルートが決められていますので、そのルートを使えばよい仕組みになっています。
このルート。送金を依頼された銀行によって異なっています。その結果、相手銀行との資金の受け渡しに遅早が生じます。これは主として、送金を依頼した銀行の違いによるバラつきです。この点はその銀行独自の話ですから、いくら聞いてもよその銀行との比較は出てきません。これが第一点目です。
二番目は、送金を依頼された銀行の資金繰りの都合です。どこの銀行でも海外送金に充当する資金は、特定の銀行に集中して置いています。これは別に銀行に限ったことではないのですが、手持ち資金の分散は、資金運用を非効率なものにするからです。
資金は出来る限り集中させて、よそには必要に応じて、資金を振り分けるというわけです。これを海外送金に当てはめてみると、相手の銀行が資金を受け取りたい銀行と、こちらの資金集中して置いている銀行が異なる場合、予め定められた銀行ではなく、あえて資金集中銀行経由にするとか、資金集中銀行から決済銀行へ資金を振り代えるとかするわけです。
いずれにしても何もしなくてよい場合よりも、時間がかかることになります。このような事情に、日本側、相手国側の銀行休日が絡んだりすると、相手口座への入金が遅れるわけです。
送金を受け取る側にとって、いつ送金が到着するかは最大の関心事ですが、いままでお話ししたように、皆さんではどうしようもない事も多々ありますので、バラつきを見込んで余裕を持って、銀行へ取り扱いを依頼されるようにお勧めします。
ルートによっては、相手国銀行の支店が日本にあれば、その支店に送金を依頼したり、送金依頼する銀行と同じ銀行の海外支店に、受取人に別途口座を開いてもらう。といった方法も考えられます。
2016/12/20