いまはやりの人工知能を使っての業務改善の話が、日経に出ていましたので、ご紹介してみたいと思います。
先日、日経の朝刊に「外為業務 AIでカイゼン」と題して、人工知能による外為業務改善について記事が出ていました。扱いがきわめて地味でしたので、掲載されたスペースの割には、気づいた人は少ないのではと思います。
旬な話題でもありますので、僭越ながら私がこの場をお借りして一言。
記事によれば千葉銀行ほか全6行の地銀の雄が参加して、日本IBMの「ワトソン」を使って、共同開発するとの事です。
参加する銀行が地域的に重ならないので、お互いが競合せずにすむ。こう考えた節も見受けられます。また開発する内容としては、主に営業店からの照会への迅速な回答が、期待されているようです。
ここまで読んでいて私は正直言って、うまいことを考え付いたなと思いました。このたぐいの話は、費用対効果(いわゆるコスパ)がネックなのですが、地域的に競合しない6行が費用分担すれば、一行当たり1,000万円はいかないようです。
これは行員一人の人件費とあまり変わりません。加えて人工知能は使うほどにどんどん賢くなりそうですが、生身の人間は同じように使い込んでも賢くなるとは限りません。ということは今後の進展に大いに期待が持てるなあ。こんなことにまで思いを巡らすと、この話、期待以上の効果が出そうと思ってしまいました。
私はメガバンク在職時に、研修セクション所属だったせいか、直接間接に外為への疑問や質問が押し寄せてきました。圧倒的に多かったのは、事務手続きそのものや、定型的な業務に対するものでした。これらの質問は、ほんの少し事務手続きを読み込んだり、一回でも実際にその業務を行えば、容易に解決するものです。
しかし営業店窓口では希少事務と言える「外為」に対して、担当者にそこまで要求するのは酷なのも事実でした。ま、そこに私の存在意義があったのですが。今後これらは人工知能で容易に代替されるでしょうし、人工知能であれば迅速に回答内容もぶれることなく、正解が出てくるはずです。となると、真っ先に私がお払い箱になりそうです。
今後が記事になるかどうか分かりませんが、外為部門が上手く機能すれば、他の業務に展開されるのは、容易に想像できます。となるとますますそこで捻出された時間やマンパワーの活かし方によっては、銀行のあり方そのものが全く変わってくるかもしれません。
そんなことまで考えさせられた記事でした。外為に限らず銀行業務へのAI導入が進み、最終的には人間のやる事が、AIのスイッチのON OFFだけ、といったことにならないように、考えていく必要があると思います。
2016/12/13