今回は通貨交換を銀行にしてもらうときに、あらかじめ銀行の定めたレートではなく、まけてもらおうという話です。(このレートをサービスレートともいいます)
海外との取引がすべて日本円で出来れば、通貨を交換する必要はありません。(当たり前の話ですが)
しかし多くの場合そうもいかず、先方との資金のやりとりで、日本円を相手通貨に、相手通貨を日本円にする作業が必要となります。この作業は銀行に頼むのが一般的ですが、その際使われるのが、日々銀行が発表する公示相場です。
この相場は一定金額までの取引であれば、東京外為市場が大きく動かない限り、終日適用される便利なものです。しかしここには銀行の利ザヤがしっかりと入っているために、実勢相場に比べて利用客に有利とは言えません。普通この相場は誰に対しても適用されると考えがちですが、実は法人や営業性個人(商売をしている個人の人)には、多くの例外があります。
これらレートをサービスしている顧客を総称して、「相場優遇先」といいます。
優遇先になればその銀行での外為取引では、公示相場より必ず良いレートが適用となります。
ではこの優遇先に加わるのは、どうしたら良いでしょうか。
皆さんが銀行の窓口に出かけて、自分も優遇してほしいと言っても、まずその場で断られておしまいだと思います。デパートでいきなり値引きを交渉するようなものです。突拍子もない事を言う人だなと思われておしまいです。
でもこんな時は相手の立場で考えてみると、本音が意外によく見えてきます。銀行が優遇をしてもやむを得ないかな。と思う相手は、平たく言えばたくさん儲けさせてくれる顧客です。たくさん儲けさせてくれるのであれば、その中の一部を還元しても、充分ペイすると考えます。
この儲けの額はいくらと決められてものはありませんので、どれくらい銀行に儲けさせてれば、優遇先になるかというルールは、まずどの銀行にありません。ただ一月に10万米ドルはコンスタントに持って行って、すべて公示相場で取引しているのであれば、交渉の余地は十分にあると思います。これが第一の方法です。
次にこれよりは確度は落ちますが、よその銀行が優遇してくれるという話を、ぶつける手もあります。銀行の担当者はそういわれても、ことの真偽はなかなか確かめられないのですが、貴方との取引を防衛したい場合は、申し出に応じてくれる場合もあります。(このごろは住宅ローンでその例がよく見られます)
ただこの作戦の欠点は、優遇の話に目が行き過ぎて、交渉が決裂して他の銀行に取引を移した場合、受けるサービス内容が劣化してしまった。こんな本末転倒な話になることが考えられます。
もし他の銀行の話をするのであれば、優遇の有無だけでなく、その他の点も考慮に入れて、交渉を進めるほうが良いと思います。
いずれにしてもダメもとで、一度銀行に球を投げてみることをお勧めします。
2016/11/08