日経新聞の一面に、「預金業務 外銀に委託」と、三井住友銀行の記事が出ていました。
みんなにお役立ち!とまではいきませんが、なかなか良い話ではと思います。
記事をざっと読んだだけでは、なぜこれが一面記事に値するのか、分かりませんでした。(最初は読み飛ばしたせいもありますが)
けれどもよく読んだら見えてきました。簡単に言うと銀行の窓口で、別の銀行口座(自分名義)への入金。
これが出来るようになるのです。
普通はもちろん出来ません。
「振込にしてくれ」とか、「その銀行の支店に行ってくれ」これでおしまいです。
これがタイのバンコク銀行限定の話ではありますが、出来るようになるのです。では具体的に預金者には、どんなメリットがあるのでしょうか。
まず浮かぶのが、
三井住友銀行バンコク支店に口座がある企業は、自分の口座に入金したいときは、バンコク銀行の窓口に行けばよい。直接現金を三井住友に持ち込む必要もなく、振り込みをする必要も無くなる。これです。
日銭商売ですと、日々売上金が現金で入ってきます。現金はそのまま置いとけませんので、通常は即日銀行に入金します。これがなかなか面倒ですし、振込したとしても手数料が馬鹿になりません。これが近くの銀行窓口での入金で済むのであれば、大きなメリットと言えます。
次にこれは日本にある親会社のメリットと言えますが、資金管理が楽になります。
今までですと、三井住友銀行のバンコク支店の口座に入金されないと、残高も把握できないし、そこから資金移動もできなかったのですが、今後はバンコク銀行の支店で入金手続きをとれば、瞬時とはいかないまでも、速やかに資金管理が可能となるわけです。
今でも海外子会社の口座残高や資金移動は、親会社で出来るのですが、さらに使い勝手が良くなることになります。これもメリットだと思います。
ただ記事には書いてありませんが、いくつか注意すべき点はありそうです。
まずこの話は入金限定だとすると、出金用の口座を、近くの銀行に作っておく必要があります。またこの預金業務の委託は企業が対象であり、個人は対象外と思われます。
また記事内容とは直接関係ありませんが、日本の銀行の海外支店は、リテール(個人相手の預貸業務)は、ほとんどやっていません。
なので三井住友銀行バンコク支店の口座開設は、日本サイドでコントロールする必要がありそうです。
とはいえ、今後このサービスは、他の国にも展開されるとの事なので、複数の国に進出している企業にとっては、検討に値する話だと思います。
2016/08/10 貿易実務の情報サイトらくらく貿易