「銀行取引に印鑑は不要?」
日経新聞に興味を引く記事が出ていました。
「口座開設 サインでOK」と言うものです。
言葉通りなら、印鑑は不要になるはずです。
さて記事の内容は、どうなっているのでしょうか。
記事には三井住友銀行が今年から一年かけて、
全店で個人の顧客を対象に「電子サイン」による、
取引を始めるとあります。
これは興味深い話です。
私は幸いにして印鑑を無くしたことはないのですが、
使っている印鑑の縁(ふち)が欠けたり磨滅したりで、
届け出印を変えたことがあります。
印鑑を変えるたびに、手続きの煩雑さにうんざりしました。
今後「電子サイン」取引がスタートすれば、
そんな思いもしなくて済むのです。
更に、記事には
「文字を書く際のクセや筆圧を読み込むことで、
他人による成りすましなどの不正ができないほど
本人確認の照合精度を高めた。」
とあります。
印鑑というものは誰が押しても、
印影(紙などに押された印鑑のあと)は一緒になります。
つまり印鑑を押すことだけでは、本人の証明にはならないし、
成りすましも防げないのです。
これが「電子サイン」なら防げる。これは期待できます。
ただ考えているうちに、二点心配な点が出てきました。
先ず一点目は、「字崩れ」に対する対応です。
「字崩れ」とは文字通り、書いた字が崩れていくことで、
何回も書いたり、時間がたつと出てくる現象です。
日本人は自署を求められる場面が少ないので、
自署と言うと「楷書」に近いものとなりがちです。
ところが何回も書いたり、久しぶりに書くと
当初の字体から離れて、ちょっと目には別物になる可能性もあります。
この状態で「電子サイン」と照合しても不一致は生じないのだろうか。
気になる所です。対策を是非聞いてみたいです。
二点目は「電子サイン」に登録する字体をどこまで認めるかです。
「楷書」はもちろんOKでしょうが、「行書」や「草書」あるいは、
自己流の崩し字も認めるのか。
記事の書きぶりからすると、システムが判別できるのであれば、
かなり広範囲にOKを出してくれそうな気がします。
となると人にまねされないように、
人目では判別できない字体の登録が増えないのでしょうか。
ちょっと気になります。
以上、ちょっと横道にそれましたが、
そもそも法律上求められるのは、署名もしくは記名捺印なので、
署名のみで銀行取引が出来るようになるのは、
大いに評価すべきと思います。
2016/05/11 貿易実務の情報サイトらくらく貿易