日銀のマイナス金利導入。外貨預金が運用面で注目を集めていますが本当にこれは「お得」なのでしょうか?|マイナス金利、外貨預金は「お得」?

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2016.03.02

マイナス金利、外貨預金は「お得」?

外貨預金は「お得」?

世界中の話題となった日銀のマイナス金利導入。
いろんな場面で影響が出てきていますが、
今回は貿易から少し離れて、
運用面で注目を集める、外貨預金について注目してみました。

新聞やネット上でお得な運用商品として、
金利が8%とか10%の外貨預金が紹介されています。
本当にこれは「お得」なのでしょうか?

あまり正面切って論じた文章が無いので、
ほとんどの人が断片的な知識や感覚的なもので、
決めておられると思います。

そこで今回は出来るだけ多面的に項目を挙げて、
皆さんの判断材料を提供していきたいと思います。

先ず結論です。

外貨預金をするのであれば、今からお話することを理解し、
リスクを受け入れて下さい。
そうすれば「得をする場合もある」。これが結論です。

余り威勢の良い話ではありませんが、やはりうまい話はそうはない。
という見本のようなことだと言えば、分かってもらえますでしょうか。
ではなぜそうなのか。

本題に入ります。

1.外貨預金特有の事情
(1) 為替リスクがある。
  日本円を外貨で運用すると、通貨交換の際に必ず発生します。

(2)為替手数料が必要
  銀行は通貨交換を無料ではしてくれないので、
  これまた発生するのは必至と考えて下さい。
  通常日本円と米ドルでは1円/USDですので、
  1ドル=100円で計算すると、
  円からドルで1円、ドルから円で1円かかるので、
  これだけで元本の2%が消えることになります。

(3)預金保険制度の対象外
  日本の銀行に円資金を預入すると、
  元本10百万円とそれに対応する利息が保険の対象となり、
  預けた銀行が万一破たんしても預金は保護されますが、
  外貨預金はその対象外です。

(4)為替予約を付けると元本割れを起こす可能性がある。
  為替リスクを避けるために、
  預入と同時に、為替予約をする場合があります。
  これにより為替リスクはなくなります。

  が、円に戻すときのレートは預入時のレートより悪くなるため、
  満期日に利息込みで円に戻しても、
  預入金額にもならない可能性が大です。
  このため銀行では、預入と同時の満期日予約はまず勧めません。

(5)利息に対する税金が、馬鹿にならない。
  税金は利息にかかりますので、円預金に比べてたくさんの
  利息が出る、外貨預金にはその分多くの税金が発生します。
  円から外貨に交換して外貨預金に預入した場合、
  多くは円ベースで運用実績を判断しますので、
  利息円貨額が減少する外貨預金はその点不利と言えます。

2.銀行の預金一般についての留意点。
  次に外貨預金に限りませんが、銀行の預金一般について、
  留意点を挙げていきます。

(1)金利は年利表示ではないか。
  12%とうたっていても1カ月だけなら1%となります。

(2)満期日以降の対応はどうか。
  多くは満期日時点の店頭金利で自動継続されます。
  つまり目玉の金利は最初だけです。

(3)預入、解約手続きは銀行窓口限定ではないか。
  預入や解約の度に銀行の窓口に行くのは、かなりの手間です。

(4)仕組み預金ではないか。
  オプションやスワップの顧客売りを組み込んで、
  発生するオプションプレミアムを、利息に加える預金があります。

  オプションプレミアムとは簡単に言うと、
  オプションやスワップを使う権利の価値を金額にしたものです。

  プレミアム部分が金利に加算されるため、
  結果として高金利となります。
  これはリスクを内包するため、
  販売には特に慎重さを求められますが、
  銀行からセールスされる場合もあります。

如何でしょうか。 種々申し上げてきましたが、
これらの留意点を納得したうえで預けるのであれば、
資産の分散やインフレヘッジと言った効果も望めると思います。

2016/3/2 貿易実務の情報サイトらくらく貿易

貿易と銀行実務の関連記事