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公開日:2012.08.06  / 最終更新日:2013.03.17

海外販路網構築講座その4 航空機産業2012/08/06



海外販路網構築講座 その4:航空機産業への売り込み方

国内市場が飽和するなかで、新しい市場を求める動きが活発化しています。その一つが航空機産業です。「自動車の次は航空機だ!」というシンプルな発想(?)かどうか、各地で航空機産業への売り込み勉強会が開催されています。

我々の経験からいうと航空機産業に物を売り込むといってもいろんなケースがあります。
大雑把にわけると

1.飛行機本体に搭載される主用機器 
2.飛行機本体に搭載される付属機器(キッチン・トイレ・イス・オーディオ等)
3.飛行機を作る工場で使用される機器(検査機器や加工機器)
4.飛行機のMRO(保守・修理・オーバーオール)機器

といった分類があります(我々独自の分類です)。それぞれについて説明します。

1.飛行機本体に採用・搭載される製品 

例えばランディングギアやエンジン等、まさに主要部品です。
今回のボーイング787の開発に伴って東レの炭素繊維が機体に採用されたように、十年単位の新型機開発のタイミングでしか売り込みができません。
また認証も大変で時間がかかります。中小企業の手だしできる分野ではありません。(若干の例外あり)

2.飛行機本体に搭載される付属機器(キッチン・トイレ・イス・オーディオ等)

この売り込み先はボーイングやエアバスというよりもANAやシンガポール航空等の各航空会社になります。
例えば、ANAの787型機のビジネスクラスにはウオシュレットが採用されていますが、これは当時のANAとTOTOの社長が友人だったから実現したそうです。
製造したボーイングの立場からすれば、顧客であるANAが「このトイレを採用してくれ」と言われたので、その指示に従ったと言う事になります。

ただ事情に詳しい人に聞くと「ボーイング787に搭載されたウオシュレットの数など、たかが知れている。その認証のためにTOTOの使った費用や手間ヒマを考えるととても割に会うものではなかっただろう」との事です。
これも中小企業が参入すべき分野とは思われません。

3.飛行機を作る工場で使用される機器(検査機器や加工機器)

これは飛行機に搭載されるものではないので航空関係認証の問題はありません。
ボーイングやエアバスの工場に食い込んでいる代理店に扱ってもらえれば採用の可能性は十分にあります。
現に私の友人であるシアトルの某セールスレップは島津製作所の検査機器をボーイングに販売しています。

4.飛行機のMRO(保守・修理・オーバーオール)機器

これは飛行機の保守・メインテナンスに使われる機器・部品です。
例えばある日本の鏡メーカーは、飛行機の中を検査するのに便利な鏡(棒の先に手鏡のついたようなモノ)を大量にMRO会社に販売しています。
各飛行場にMRO会社は存在するので、その売り込み先の選定・アプローチが容易ですし、まったく認証の問題もありません。中小・ベンチャー企業が航空機市場に参入するならここが一番狙い目でしょう。

このように、同じ「航空関連製品・部品」といっても売り込み先・認証・販売難易度はまったく異なっています。
まずは自社の製品がどの分類に属するかを考えましょう。場合によっては「航空機マーケットはきっぱり諦める!」というのも中小企業としては立派な決断です。

2012 © 大澤裕@ (株)ピンポイント・マーケティング・ジャパン

「海外販路網構築講座その5 海外への技術ライセンス交渉」はこちら

「海外販路網構築講座その3 中国市場での失敗例」はこちら

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