海外展開や輸出入取引をおこなったときに生じやすいトラブルがあります。
製品を海外で販売する場合のトラブル事例
・代金を払ってもらえない、支払いが遅れるなど、回収トラブル
・顧客都合で、一方的にキャンセルを受けるなど、受注トラブル
・品質クレームを受けるなど、品質トラブル
部品・原材料などを海外から調達をする場合のトラブル事例
・仕入先都合での生産遅れなど、貨物受渡しトラブル
・到着貨物数量が発注数量と異なるなど、数量差異トラブル
・受注確定後の一方的な価格変更要求を受けるなど、発注条件トラブル
さまざまなトラブルがありますが、大きく分けると、
1)品質不良に関するもの
2)数量不足・商品受け渡しに関するもの
3)マーケットクレームに関するもの
になると考えられます。
契約時に価格と納期だけを取り決め、その他の条件を明確にしないで契約してしまうケースが多く見られます。
輸出入取引の契約では、売買当事者の責任範囲と免責範囲について、細かく取り決めておくとともに、最悪を想定した場合のクレーム解決方法も合意しておくことが大事です。
1)品質不良に関するトラブル解決策:
輸入取引を開始する前に、相手側に品質要件を十分に理解してもらうことが大事で、製造時の品質管理や出荷検品の管理方法などの話し合いや、輸出者の責任範囲の明確化がポイントです。
併せて、クレームが発生した場合の対応で、さらには円満解決できない場合を想定し、契約書にはクレーム条項と仲裁条項を明記しておくことも必要です。
2)数量不足・商品受け渡しに関するトラブル解決策:
輸出入の慣習で、契約数量の5%は許容範囲内とする考え方もあり、数量不足は特に注意すべきです。
もし、許容できる増減幅を設定する取引の場合、契約段階でその数値を明確にしておく必要があります。
輸出の場合、インボイス数量との差異を理由に、着荷不足のクレームを受けるケースも多発しています。輸出者自らが輸出時の検数・検量を行うことが必要でしょう。
3)マーケットクレームに関するトラブル解決策:
輸出者の小さなミスを契約不履行という理由でクレームにされたり、値引きを要求されるケースがあります。
船舶や航空機のスケジュール遅延は輸出者に直接の責任ではありませんが、納期遅延を理由に値引きを要求されたケースもあります。契約時に売買当事者の責任範囲と免責範囲を明確にしておくことが必須となります。
「当事者の利害は反する」、そのために、3ポイントをたえずチェックしましょう。
・当事者の責任範囲と免責範囲を明確にする
・最悪を想定した契約管理を行なう
・自らクレームリスクを招かないようにする
2012/02/24