Withコロナ時代、新しい生活様式の下で、2年ぶりに行動制限のないゴールデンウィークへ突入します。そして夏休みに向かって、まさしくこれからリベンジ消費による日本経済の回復を期待していたところですが、日米の金融政策の違いに起因する円安基調、ロシアのウクライナ侵攻などが重なり、モノやサービスの値段が高騰しています。せっかくの消費意欲に冷や水を浴びせられたような感があります。
「値上げの春」という言葉、毎年この時期に新聞の一面を賑わせますが、今年の春ほどそれを実感したことはありません。
円安による原材料やエネルギーの高騰により、この春、値上げに踏み切った食品メーカーは実に105社、加工食品、調味料、酒類、菓子類、乳製品を中心に、約6,000品目が値上げされたと聞いて実感として頷けます。
食品、日用品、ガソリンなど、生活必需品の価格がこれほどまでに上がっては、消費者の気持ちが「消費」より「節約」へと向かってしまうのも無理はありません。
「節約」は、いつの時代も生活者にとって永遠のテーマではありますが、今回ばかりは本気モードの「節約」を考えている方が多いようです。しかし、節約の方法を間違ってしまうと、QOL(生活の質)が下がる可能性があるばかりか、その効果もあまり得られないことがあります。
節約というと、手の付けやすい、食費や日用品費などの変動費を抑えることに向かってしまう方が多いのですが、実は変動費よりも、家計に占める割合の大きい固定費の見直しに着手したほうが、節約効果は断然高いのです。
固定費とは、住宅費、水道光熱費、通信費、車の維持費、生命保険料など、毎月必ずかかる費用のことです。サブスクリプションによる契約も固定費に含めます。
固定費を削減することのメリットは、その削減効果を一定期間持続できること。ポイントは削減額が大きくなりそうなところから見直すことです。
例えば住居費、住宅ローンがある場合は、ローンの繰り上げ返済や、借り換えなどを検討してみましょう。借入額が多い、又は返済の残存期間が長いほど、少しの金利差で大きな節約効果を生み出します。
通信費では、スマホの料金プランの見直しや、通信会社の乗り換え、格安SIMの検討。そして、自分のインターネット使用状況を改めて考えてみましょう。高速でのインターネット回線がそれ程必要ない場合は、モバイルWi-Fiルーターへの切り替えを検討。そもそも自宅でのインターネット利用頻度が少ないなら、スマホのデザリング機能で事足りるかもしれません。なんとなく払い続けてしまっているのが通信費ですので、見直し、削減の余地は一番高いかもしれません。
車の維持費としては、自動車税や保険代などが固定費としてあげられます。税金を節約することはできませんが、自動車保険に関しては、見直しの余地があるかもしれません。最初の加入時の条件のまま更新をしているケースも見受けられますので、年齢要件や補償内容の見直し、また、保険料は複数の自動車保険会社で比較するなど、再考の余地があります。
生命保険や医療保険について、一人が複数の保険に加入している場合は、補償内容が重複していないか確認し、本当に今その保障が必要かも検証してみましょう。
最後に、コロナ禍のおうち時間に加入したサブスク、利用してないのにそのままになってはいませんか。
固定費といわれるものは、最初に契約したものをそのまま継続している事が多く、口座からその費用の引き落としがされている場合が多いため、支払いの実感が得にくい項目です。しかし、家計を見直すのであれば固定費から、これが最も効果的な方法です。
春は就職や転勤、子どもの就学関係に変化がある時期です。家族構成や生活環境が変わったときは、お金の流れも変わります。家計の見直しを、年1回この時期にルーティン化すると、無駄のない家計管理ができると思います。おススメの方法です。
2022/04/26
元通関士・現FPのあれこれ話
山﨑裕佳子