コロナ禍は私たちの生活を一変させ、新たな価値観を生み出したように思います。そのひとつが働き方の多様性でしょうか。副業を始めた、または始めたいと考えている会社員が増えているそうです。では副業で得た収入の税金はどうなっているのでしょうか。 |会社員の副業と税金はどうなってる?

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公開日:2022.03.26  / 最終更新日:2022.04.02

会社員の副業と税はどうなってる?

副業の所得税と住民税

コロナ禍は私たちの生活を一変させ、新たな価値観を生み出したように思います。その中のひとつが働き方の多様性ではないでしょうか。多くの方がリモートワークを経験し、オンラインでも会議が可能であることを知り、出社せずとも仕事ができることを体感したと思います。

このような状況下で、副業を始めた、または始めたいと考えている会社員が増えているそうです。パーソナル総合研究所の調査(*)によると副業に意欲的である正社員の割合が40%を超えていることがわかっています。

そこで、今回は会社員の副業と税をテーマにしてみました。

今はネット環境があれば、スキマ時間で誰でも比較的簡単に収入を得られるようになりました。フリマアプリやアフィリエイトからの収入、YouTubeの収益、執筆原稿料など、収入源となるツールは多種多様です。会社員がこのような形態で収入を得る場合も広義では副業にあたります。

所得税法上、所得は10の種類に区分されています。会社から支給される給料は「給与所得」に該当し、会社員が副業で得た収入は多くの場合、「雑所得」に区分されます。

【10の所得区分】
利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得

給与所得者である会社員の所得税と住民税は、会社が手続きを行っているため、自ら納税手続きをすることはほぼありません。

所得税は、会社が源泉徴収により予め給与から天引きし、年末調整にて徴収額の過不足を整理します。住民税は前年の所得に課税される仕組みで、年末調整後に会社が発行する「給与支払報告書」により市区町村が住民税額を決定します。このような形で、会社員の場合は、給与から天引きで所得税、住民税を払っています。

一方、源泉徴収のない副業収入は、納税の必要があれば自分で確定申告をします。具体的には、副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。なお、年間とは、毎年1月1日~12月31日までの期間をいい、20万円は「収入額」ではなく「所得額」です。所得とは、収入から必要経費を引いた金額となります。

つまり、会社員の方は、年末調整により一旦課税関係が終了していても、副業の所得が年間20万円以上あった場合は、確定申告をして所得税の支払いが必要になるわけです。この所謂「20万円ルール」は、副業ワーカーであればご存じの方も多いと思いますが、意外に盲点となっているのは住民税についてです。

確かに副業の所得が20万円以下なら、確定申告不要、つまり所得税はかからないわけですが、これはあくまで所得税のみに適用される規定です。住民税に「20万円ルール」の適用はなく、給与所得以外に副業などの所得がある場合は、その多寡にかかわらず、住民税の申告が必要になります。住民税の申告書は、居住地の市区町村窓口に提出します。

この場合の住民税の支払い方法は2つ。「特別徴収」と「普通徴収」のどちらかを選択します。「特別徴収」は会社の給与から天引き、「普通徴収」は納付書による支払いとなります。

なお、確定申告をする場合には、その情報が自動的に市区町村へ共有されますので、住民税だけを別途申告する必要はありません。

働き方の多様性、将来へのリスクヘッジの観点から、今後、副業や兼業など、収入源を複数確保するという働き方が増えるのではないでしょうか。副業収入に関しての税金の知識を備えておけば、副業を始めるハードルも下がるかもしれません。

今回は、副業の所得税、住民税をテーマにお話しました。税金の種類は国税、地方税、合わせて50種類もあるそうです。通関士時代の私は、税といえば「関税」「酒税」「消費税」の3本立て。「所得税」や「住民税」は給与から天引きされるものという認識しかなかった為、仕組みを考えたことすら無かったかもしれません。
現在の私は複業(あえて複と書きます)ワーカーです。自分事として改めて税について考えています。

今後も税のお話は、折を見て取り上げていきたいと考えています。

(*)参照サイト:パーソナル総合研究所、副業に関する調査結果(個人編)を発表
https://rc.persol-group.co.jp/news/202108131000.html

2022/03/26
元通関士・現FPのあれこれ話
山﨑裕佳子

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