日々目を離せないウクライナ情勢。西側諸国の経済制裁の一環で幾つかのロシアの銀行がSWIFTシステムから排除されました。また多くの国際決済システムがロシアとの取引を停止しています。この様な状況下でロシアへの支払が可能な方法はないのでしょうか。 |「ロシア向け支払い」を考える

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公開日:2022.03.17  / 最終更新日:2022.10.20

「ロシア向け支払い」を考える

ロシアのルーブル

日々目を離せないウクライナ情勢。西側諸国の経済制裁の一環で3/12(土)から、幾つかのロシアの銀行がSWIFTシステムから排除されました。また多くの国際決済システムがロシアとの取引を停止しています。

この様な状況下でロシアへの支払が可能な方法はないのか。今回はこの点を少しだけ考えてみたいと思います。但し今は外為現場から離れているので、経験者としてこれならOKでは?こんなことを皆さんにお知らせ出来ればと思っています。

1.銀行経由の海外送金
日本国内での日本円取引は、日本銀行が中央銀行として資金決済の仲立ちをしてくれます。しかし海外との取引にはこんな便利な銀行は存在しません。(世界銀行と呼ばれる組織体もありますが決済機能はありません)そこで米ドルであれば米国(特にニューヨーク)所在の銀行や、ユーロであればフランスやドイツの大手銀行に仲立ちを頼むのですが、今は米国・EU共に一致協力してロシアに制裁を課しているので、ロシアへの仲立ちは到底期待できません。

つまり米ドルやユーロは決済通貨として使えない事になります。とすればロシアルーブルか日本円による送金となります。しかも直接ロシアの銀行の口座に資金を入れなければなりません。他国を経由するとそこで資金が凍結される可能性が大いにあります。

そこで出来そうな方法は、日本の銀行がロシアの銀行に持っているロシアルーブルの口座、或いはロシアの銀行が日本の銀行に持っている日本円の口座。これらの口座に直接入金する。これなら未だ資金決済可能と思います。但しこの場合。銀行は口座の存在を公表してませんので、取引銀行に個別にその有無を確認する必要があります。

一つの可能性として3メガバンクであれば、3行共にロシアに現法を持っていますので、本支店間であれば何らかの資金決済をしているはずです。もしニューヨークやEU諸国を経由してないのなら、今でもこのルートでの決済は可能かもしれません。

2.銀行以外の国際決済システム
銀行以外ではどうでしょうか。Paypalは既にロシア向けは停止。このような報道がなされています。英国ワイズ(旧トランスファーワイズ)もやはり停止です。ウェスタンユニオンは3/21(月)までなら取組可能との情報がありました。

但しウェスタンユニオンの日本語HPでは確認できなかったので、もし送金をお考えならば取扱店舗での確認を強くお勧めします。(取扱店舗は同社日本語HPで検索が可能です)

3.いわゆる暗号資産
全く知見がないのでウッカリしたことが言えないのですが、暗号資産ならば可能かもしれません。ただ取引所が取引に応じなければ、この方法も無理と言えます。

以上幾つかお話ししましたがこれらの方法の中では、可能であるならば取引銀行に相談して日本円かロシアルーブルで、送金を取り組むのが順当な気がします。ただ資金の授受は直接相手銀行口座に入金する必要がありますので、取引銀行にそもそも可能かどうかを確認せねばなりません。

当局が難色を示す場合は、銀行に腰を引かれる可能性もあります。それでも前回の本欄に記述しましたが、JT(日本たばこ産業)が国内システムを利用して決済を続けている。こういう報道がありますので、何らかの方法があるのではと思います。

参考サイト:ロイター、訂正(会社側の申し出)- JT、ロシアの資金決済は国内システム利用SWIFT通さず
https://jp.reuters.com/article/jt-swift-russia-idJPKBN2L00J5

2022/03/17

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