言うまでも無く、外航貨物の主流はコンテナ輸送です。一方で船積書類は相変わらず紙ベースで動きます。
コンテナが輸出者から輸入者に渡るまでに、船積書類の方は輸出者⇒買取銀行⇒輸入者取引銀行⇒輸入者と、丁寧に受渡をされていきます。これでは貨物の動きと、船積書類の動きに差が開くのは当然です。
そこで銀行もこのギャップ解消にアレコレ考えています。究極の解決方法は船積書類の完全電子化と思いますが、今すぐ移行するわけにも行きません(つらいところです)。では銀行がどうやってスピードアップを図っているか、これを見て行きたいと思います。
銀行によっては顧客と銀行間の書類のやり取りについて、一部電子化を行っているところもあります。これですとB/L(船荷証券)とI/P(保険証券)以外は、瞬時に銀行に送り込むことが出来ます。これに船会社(通関業者経由)からのB/L、保険会社からのI/P(保険証券)が到着すれば、銀行は内容チェックしての買取が可能になります。
もし電子化されていなくても、直接顧客から外為センターのような、集中業務セクションに書類が送付出来れば、営業店を通さないので同じような効果が期待できます。実はこの方法は銀行にとっても、営業店に外為スタッフ配置せずにすみ、人員面で効率化が計れることになります。実際にこの方法を採れば、大体丸一日は短縮出来る印象でした。
次に勘定処理の短縮です。銀行は顧客から船積書類を受領して、内容を点検します。そして問題がなければ買取処理を行います。この内容点検から買取処理まで、タイミングが悪いと二日かかります。そこで内容点検を買取に必要な部分にとどめ、そのまま買取処理を行えば、勘定処理が早まります。
顧客から見れば銀行持込当日に買取して貰えるわけです。誰にでも適用出来る方法ではありませんが、与信上懸念無い外為先には、充分に対応可能でした。ここは銀行のスピードアップというよりは、顧客サービス向上が大きかった印象です。
さて買取処理が終わった船積書類を海外発送する場合に、多くの銀行では郵便局の持ち込むのでは無く、DHLやOCSのような民間宅配業者を使います。メガバンクではこの様な宅配業者が外為センターに常駐しており、専用の部屋で銀行処理済の書類を受け取り、海外発送の手続をします。銀行からの持込時限は16時頃が多かった記憶があります。
ここからの処理の速さは尋常では無く、17時頃には自社の車に載せ終わって、そのまま都内近郊のデポ(サービスセンター)に持ち込まれます。そしてその日の夜には成田空港に到着し、そのまま専用便で香港に送られていました。(香港がハブでしたので)
これが顧客持込の翌日ですから、相当のスピード感です。この方法でやれば本当の近場以外は、書類が貨物の動きに大きく遅れないですみました。その点からも銀行の外為部門が集中化されていったのが、分るような気がします。
2021/07/30