ここ数年前から非物質化という意味を含めるdématérialisationという言葉を頻繁に耳にするようになったフランスです。使われる意味としては電子化、ペーパーレスということになります。
電気やガスなどの請求書は、封書で届いていたのが徐々に「ペーパーレス化に伴い、アカウントとパスワードを使ってネット上で閲覧が可能になりました。」というお知らせがくるようになりました。オンラインで確認できることに便利さを感じる人もいれば、オンライン化に積極的に関わらない人もいるのでしょう。ネット環境に不慣れな年配の方には、スマホやパソコンでと言われても戸惑ってしまうようです。
ここ最近、日常生活で電子化が一歩進んできたと感じた出来事がありました。16歳から持てる個人の健康保険証作成のお知らせの手紙が届きました。フランスの健康保険証はカードタイプで顔写真も載せることになっています。内容は、どういう手順で申請を行うかが書かれていました。そこに、オンラインで申請も可能となっていました。身分証明の写真は、オンライン身分証明撮影のアプリで撮影可能とのことです。街中で見かけるセルフの証明写真のボックスや写真屋さんに行かずに自宅から照明写真が携帯で撮れることを知り驚きました。
早速試してみると、何度でも撮り直しが可能で大変便利でした。自分で撮影した写真で申請許可が受け付けてもらえるか少し不安でしたがきちんと申請を受け付けてもらえました。パスポートなどの身分証明書も有料ですが同じアプリを使ってスマホのカメラを使って同じく撮れるそうです。
洋服屋などに買い物にいくと、お会計の時の「レシートはメールにて送付しますのでアドレスをお願いします。」と言われることも多くなりました。新しく契約した携帯電話の会社などは、最初からすべてオンライン上での請求書しかない仕組みとなっています。
紙の書類は減ってきているといえますが、各契約に対して必ずアカウントとパスワードが必要になってきます。そちらをきちんと自己管理していくことが大切になってきました。私のアドレス帳は、半分は友人達の連絡先で後の半分は各サービスのアカウントとパスワードで埋め尽くされています。
フランスの郵便局の国際郵便のインボイスも以前は手書きで記入する紙をもらえたのですが廃止になりました。自宅で郵便局のサイトにアクセスしてインボイスを作成してプリントアウトしたものを持っていくか、もしくは郵便局にある自動販売機にて自分で作成をしたものしか受け付けないそうです。
これからもペーパーレス化はさらに加速していくと感じます。今現在は、通常通り書面でのサービスを希望すれば受けることが可能ですが、徐々にペーパーレスの選択肢のみに変わっていくように感じます。
企業側は郵送にかかる手間や紙の資源を節約できる利点もあるでしょう。消費者は、日常生活でお世話になっている水道、ガス、電気などのサービスの請求書等の電子化によって自己責任でしっかりアカウントの管理をしていくことが大切になってきています。
ビジネスや業務でのペーパーレス化は効率がよくなり、積極的に取り入れたいものですが、プライベートではもう少し情緒のある暮らしができればいいと思います。
2021/02/19