講師は国際商取引学会会員で、貿易アドバイザーの高橋靖治氏です(ICCは国際商業会議所の略)。全部で2時間弱だったのですが、一気に聴講させて貰いました。今回はその感想を書いてみたいと思います。
私はこの手のセミナーに出会うと、つい講師に肩入れをしてしまいます。要は講師になった気分で聞いてしまうのです。受講者ならレジュメを見ながら聴けばいいのですが、講師役に肩入れすると聞き方がガラリと変わります。例えば、登壇場所の環境は?セミナーの趣旨・目的は?受講者のレベル感は?etc.です。
オンラインセミナーは初めてなので余計に興味が湧きます。経験のないことに対しては興味津々になるものです。文字通り箸の上げ下げまで見てしまいました。さて聴講しての実感ですが、無人講義は思った以上に大変。これでした。恐らく高橋講師も戸惑っておられるのでは。そんな場面もありました。しかし時間内にレジュメの全てに言及し仕上げられました。これには脱帽するしかありません。
しかし「良かった」「良かった」では私のコラムになりませんから、自分ならどうするかこれを幾つか考えました。以下はそのご紹介です。
1. 全体を通して海上輸送がメインのお話しでした。私なら航空貨物にも入れたいです。今や物流では空運は必須です。
2. 輸出FOB保険にも触れたいところです。実際コンテナ輸送でもまだFOB系の場合が有ります。CY(コンテナヤード)に貨物を置いている場合、船積前にコンテナが損傷すると、無保険の状態がありえます。これを防ぐために言及します。
3. 売主から買主への費用・危険負担の移転については、詳しく説明がありましたが、なぜインコタームズでは、所有権の移転時期について言及してないのか。説明が欲しい気がします。軽く触れたいです。
4. 代金決済の部分の説明をもう少し膨らませたいところです。特に船荷証券を銀行経由で相手に送って、輸出代金を回収するという説明の部分。これで一向に問題は無いのですが、銀行実務では取立と買取を峻別していますので、ここの説明でも買取の説明も加えれば、売主の代金回収は、実質買取の時点で終了している。と理解することができます。
以上が縷々申し上げましたが、翻って私が講師ならどうなのか。
恐らく皆さんの反応がないので、軌道を外れてもそのまま。時間だけが経っていく。そんな悪夢が脳裏をよぎりました。やはり講義は聴いてくれる人がいてなんぼの世界のようです。
2020/10/15