これまで数多くの不公平や不公正を是正すべく、公正取引委員会が排除措置や課徴金納付を命令しています。この法律。別に大企業限定でもないのでしょうが、大企業が話題になる事が多いようです。今回はこちらのお話しを少ししてみようと思います。
銀行が独禁法で話題になるのは、多くは優先的地位の濫用です。預金・融資・外為など多くの場面で、銀行が優位な場合が多いのは、認めざるを得ません。我々もこの点を戒めるべく、「我々は銀行の金看板を背負っている」、こんな言葉を上司や先輩から言い聞かされていました。職務中の言動は自分が発したものと思いがちですが、実はお客さまから見れば、後ろに銀行の金看板が見えているので、主体はその担当者ではなく銀行そのものになる。
こうした優先的な地位に安住するな。こう言った意味合いです。そこで我々がお客様へお話しをする際には、顧客メリットだけでなく、デメリットやリスク(顕在、潜在問わず)も余さず説明する。この姿勢が大切になります。この点をおろそかにすると、お客様が不確実な或いは誤認したまま、取引が成立してしまう。しかもお客さまは断わり難い。
これでは公平・公正な商取引とは言えません。そこで公正取引委員会としては、「銀行はその立場を利用して、商売をしてませんか。もししたら独禁法違反ですよ。」こういった警告を発しているのです。勿論、単なる警告ではなく、法律の裏付けを持った強い規制です。それでも過去には営業停止処分を受けた銀行もあります。
銀行の優先的地位の濫用は、ある意味永遠のテーマかもしれません。ここまで書いて、ふっと思い出したことがあります。今から30年以上も前のことです。同じ店に俊敏な融資担当者がいました。仕事ぶりに俊敏はおかしいかもしれませんが、彼は情報収集を始めとした立ち回りの早さ巧さが光り、他行動向も良く把握して、重要案件でも容易に本部承認を得ていました。
そんな彼がポロッと「他行の情報も入ってくるんだ。」と言ったのです。聞いたその時はフーンでしたが、よく考えると入手先によっては、ヤバいのでは。後になってそう思うようになりました。もし直接他行と情報交換しているなら、「談合」と取られかねません。これでは独禁法違反になってしまいます。漏れ聞いたところでは、情報源は取引先の同業他社のようでした。
分ればなーんだの世界ですが、当時は一瞬公取(公正取引委員会)に、ウチも入られるのかと、心底心配になりました。皆さんも一度、公正取引委員会のページを見ることをお勧めします。
公正取引委員会:
https://www.jftc.go.jp/dk/
2020/10/01