今回は別の輸出業者さんからのご相談です。
今まで100%前受けのT.T.送金だった海外顧客から、ユーザンス付信用状での決済要請があったそうです。こちらのお客様のお考えでは信用状決済は已む無しだが、ユーザンスまで認めるのはどうか。決済が遅れるのではないか。こう考えられたようです。
たしかにユーザンスが付くと、決済は一定期間後となります。お客様としては正直言って迷っているので、アドバイスをお願いしたい。こういう内容でした。
皆さんの所は、こんな場合どうされてますか?
一般に決済条件変更は、輸出入者両者ともに良し。なんてことは無く、一方が有利になれば他方は不利になります。本件で言えば100%前払いT.T.送金でやっていたのなら、これ以外への変更は輸出者にとっては不利になります。
そこで私もその点を確認したのですが、判明したことはこの海外業者との取引が増加しており、このままでは100%前金というのは先方の資金負担がキツいため、代替手段としての信用状取引の申し出となったようです。ただ一覧払いでは輸入者の資金繰りは楽にならないので、ユーザンス付きの申し出となったようです。
普通のユーザンス付信用状では、決済はユーザンス期間終了後です。たとえユーザンス期間の利息を輸入者が負担してもです。(ちなみにこのパターンでは満期日に利息込みで払ってきます)そこで輸出側はその期間リスクヘッジのため、輸出手形保険の利用や、フォーフェイティングの利用を考えます。また信用状の確認も行われています。しかし輸出手形保険のカバー率は、輸出手形金額の95%です。残りの5%は保険が効きません。
フォーフェイティングは輸出側で手続きが完結しますので、楽と言えば楽なのですが、何か問題が発生したときに、輸入国側ではフォーフェイトに基づく債権譲渡は知らされておらず、トラブルになりかねません。信用状の確認は、そもそも確認してくれる銀行を見つけなければならず、確認に要する手数料は輸出者負担になります。
その点、今からお話しするUPAS条件付き信用状であれば、問題点はクリアー出来るのではないでしょうか。順番にポイントを見ていきます。
1.UPASとはUsance paid at sight.略であり、期限付きながら輸入側で引受がなされたら、一覧払い同様で輸出者側に支払がされる。
2.信用状に一覧払い同様決済が明記されているので、一覧払い信用状と同じように早期の支払が期待できる。
3.ユーザンス期間利息は輸入者側が負担するので、輸出者側は特段の出費を強いられない。
このように採用メリットは充分に思えます。皆さんも似たような事態では、Upas条件を思い出してみてください。
2020/06/19