新型コロナウィルスの影響で自宅で過ごす時間がぐんと増えました。もともと寒冷気候であるフィンランドでは、暗くて寒い時期を屋内で過ごすことが一般的です。その甲斐あってか、今回の自粛モードでも楽しみながら過ごしている様子が伺えます。
今回はそんなフィンランドの国民性を反映した過ごし方をご紹介します。
屋外の大規模イベントやスポーツ観戦がキャンセルとなり、また図書館などの公共施設から、カフェ・レストランまでもが閉鎖(テイクアウトとデリバリーのみ営業)。さらにはヘルシンキ周辺の首都圏内もロックダウン。こんな行き場の失ったフィンランド人がまず真っ先に向かう先は、森です。
ヘルシンキのような都市であっても、中心地から数分歩けば森や公園があります。普段からこうした場所で散歩やジョギングをしている人たちを見かけますが、この時期はさらに増えています。森に人だかりが出来ては意味がないので、各森林管理局が「複数人で群れないように」と警告しています。それでも別の森や公園へ散らばれば、人が少ないので自然界で行き場を失うことはなさそうです。
もう一つ、森とセットで過ごすのに最適な場所として、Mökki(モッキ)とよばれるコテージがあります。日本でコテージというと富裕層が所有しているイメージがありますが、フィンランドでは一般的にコテージを所有または賃貸して、そこで過ごすことを人生の楽しみの一つとしています。在宅勤務が義務となった人たちにとっては、コテージはうってつけの場所。サウナや森がセットの生活環境となれば、自粛モードはどこへやら。ただし、高齢者や感染の疑いがある人は、逆に病院近くの自宅などで過ごす必要があると言われています。
こうした生活環境に加えて、今やインターネットなしの生活は考えられない状況で生み出されているのは、オンラインでの娯楽です。昔でいう「チェーンメール」のような「5日連続で良いことがあったらSNSでアップして、別の友人を指名する」というような内容のものがいくつかまわってきています。3月に人気だったのが「若い頃の写真をアップする」でした。友人たちの若かりし頃の写真をみて自粛モードを吹き飛ばそうという意図があり、それぞれに楽しんでいました。
またフィンランドは普段からボードゲームの人気があります。カフェやバー、図書館などにボードゲームがいくつか置いてあり、飲みながら食べながら楽しむ習慣があります。そんな背景から今回のような状況下でボードゲームを購入して家族で楽しんでいる様子が伺えます。日本では馴染みの薄い北欧の文化や伝統をテーマにしたゲームもあり、個人的にはこれが一番楽しみでもあります。
最後に、フィンランドにおける自宅での過ごし方で忘れてはいけない、読書があります。世界一読書国民であり、図書館の利用率も世界一の国民にとってこのような状況下では、一層読書率が加速されます。図書館は閉鎖されていますが、e-ブックの貸し出しから、本屋さんでの本の売れ行きは好調のようです。
先が見えない世界的な感染症と向き合うために、自粛モードというよりかはこの時期をどう過ごすかによって、これからの暮らしや社会が見えてくるのではないでしょうか。そんな前向きに考えながら引き続き自宅で過ごしていきたいと思います。
*内容は、2020年3月31日現在のものです。
画像出展元:
https://www.hs.fi/kotimaa/art-2000006440605.html
2020/03/31