まだまだ収束しない新型コロナウイルス。みなさん、対策はどうされているでしょうか?
マスク、手洗い、うがい、手指の消毒、人ごみを避ける、などできることはやっていますが、一気に日本中いや世界中でマスクなど感染症予防品の消費量が増えたため、手に入り辛い状況が続いています。
我が家ではマスクは何とか買えましたが、使い捨てマスクを使い捨てずにリサイクルしながらしのいでいます。自己責任です。ただ、手指の消毒液のほうは間に合わず。買いそびれたまま、ドラッグストアに行くたび、空っぽの棚を眺めています。
そこで、気になる手指の消毒液の製造場所や輸入手続きなどについてまとめてみました。
【消毒液はどこで製造?】
手指の消毒液に使われるのは主に消毒用エタノールです。エタノールはアルコールの一種で細菌を殺す性質があります。
化学的に合成されたものと、サトウキビやトウモロコシなど穀物原料から作られた粗留アルコールから精製するものがあります。
日本で消費される消毒液はその多くが国産ですが、原料である粗留アルコールはブラジルやアメリカから輸入されています。
粗留アルコールを大量に輸入してきて、日本で不純物を取り除き、精製されたのち、除菌消臭スプレーや手指消毒剤などの製品になります。
エタノールにイソプロパノールや保湿成分を添加した製品もあります。家庭用消毒液はほとんどがこちらのタイプです。エタノールと水だけでできた製品は医薬品で、酒税がかかります。
ちなみに、容器などは中国製のことも。現在、消毒液自体は製造できていても、容器の製造が間に合っていない、ともいわれています。しかし、これも中国国内の物流が回復すれば、解消すると思われます。
【消毒液の輸入方法は?】
製品化した殺菌消毒液は医薬部外品または医薬品です。輸入する場合、通常の輸入通関手続きに加え、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」通称「薬機法」の規制を受けます。
薬機法では、医薬品・医薬部外品を輸入販売するためには、それぞれの種類に応じた
・製造販売業許可
・製造業許可
を取得しなければなりません。
海外の製造所については、
・外国製造業者認定
また、製造販売業者は、医薬部外品について
・品目ごとの製造販売承認の取得
承認不要な医薬部外品の場合は、
・品目ごとに製造販売届書の提出が必要です。
これらの許可、承認等をそれぞれ指定の申請先から取得したのち、輸入手続きに入ります。
輸入通関の都度、税関に医薬部外品外国製造業者認定証の写しと輸入する品目の医薬部外品製造販売承認書、医薬部外品製造販売届書のいずれかの写しを提示する必要があります。
医薬品医療機器当方の対象となる品目の輸入・販売手続き
https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/pdf_publications_0098ngb.pdf
医薬部外品には「殺菌」や「消毒」という言葉を表示することが認められています。性能や効能が想像できる表現をパッケージに表示できます。逆に言うと、実際に殺菌消毒効果があっても、医薬品や医薬部外品の承認がなければ、効能を示す言葉は使えません。
例えば、次亜塩素酸水なども殺菌効果がありますが、医薬部外品の承認を受けていなければ、「殺菌」「消毒」とは表示されていません。
一方、「除菌」「消臭」「抗菌」という言葉は医薬部外品等でなくても表示できます。ただし、明らかに殺菌するのに、「除菌」といった言葉で製品のイメージを和らげる表現を使用することも、薬機法に反します。
除菌グッズであれば、薬機法の規制の対象とならず、「雑品」として輸入できます。マスクやウェットシートなどが該当します。義務表示ではありませんが、日本衛生材料工業連合会による業界自主基準に基づく表示が定められています。
2020/03/16
simalu 元通関士の実践コラム