外国から貨物を輸入する場合、輸入者は税関に対し輸入申告をしますが、輸入申告のタイミングは貨物が保税地域に搬入されてから、と決まっています。
搬入の確認が取れると、輸入申告→税関審査・検査→輸入許可→搬出、が通常の流れです。
税関審査中は貨物を動かせないので保税地域で待機することになります。
しかし、輸入申告前に税関審査を終わらせて輸入許可までの時間を短縮する方法があります。
それは、予備申告です。
今回は貨物搬入から搬出までのリードタイムを短縮できる「予備申告」についてのお話です。
予備申告は、輸入申告(本申告)の予定日の外国為替相場(課税価格換算レート)が公示され、かつ予備申告貨物の船荷証券(航空貨物はAir Way Bill)が発行された日以降にできます。
換算レートは、申告日の属する週の前々週の実勢外国為替相場の週間平均値です。こう書くと難しそうですが、自分で計算する必要はありません。毎週税関長により公示されています。税関HPで見ることができ、過去分も掲載されているので、修正申告などするときもレートを確認します。
通常の輸入申告同様に申告しますが、その際予備申告コードを入力します。申告すると、審査区分がわかります。
区分1=簡易申告扱い。書類審査・検査なし。
区分2=書類審査扱い。まれに審査後に検査扱いに変更になることがある。
区分3=貨物検査扱い。書類審査+貨物検査。
区分2は税関で書類審査を受けなければなりません。ですが、貨物到着前に申告書類を税関に提出でき、審査を済ませることができます。審査終了すれば、貨物到着後即輸入許可となりますので、搬出までスムーズです。
区分3になると、貨物検査ですので、到着後すぐに輸入許可、搬出というわけにはいきませんが、検査の手配など事前の準備ができます。検査が混みあう日など、X線の順番待ちになることもあります。予備申告で検査予定の場合は検査場やX線装置の予約ができるので、早く検査を済ませて搬出できます。
他法令手続きが必要な貨物は税関手続きと並行して進めることができます。NACCSでは他法令の許可番号や承認番号とも連動しています。予備申告時に本申告するタイミングを貨物の搬入や到着確認後に自動起動するように指定することができます。手動も可。他法令の許可等必要な場合はNACCSで証明されている場合に限り自動申告が使用できます。
予備申告はすべての輸入貨物でできます。通関業者は一般的に、納期の余裕など見て必要と思えば予備申告を利用しています。輸入者が予備申告の指定をしなくても、通関業者の判断で予備申告していることも多いのですが、事前に書類審査や検査の要否を知りたい場合、予備申告を指示し、申告結果を聞くのもいいでしょう。
そして、さらに早く貨物を引き取りたい、という場合はホットデリバリーを依頼しておくといいです。ホットデリバリーとは個別搬入のことです。
本船が港に到着後、貨物(コンテナ)は船から下ろされます。船からコンテナをすべて下ろし終えた後に、搬入情報を入力します。これを一括搬入といいます。一方、ホットデリバリーは、コンテナ毎に搬入情報を入力します。
一括搬入に比べて、個別搬入のほうがより早く申告を行うことができます。予備申告とホットデリバリーの組み合わせで輸入許可までの時間の大幅な短縮が可能になるのです。コンテナ貨物なら入港日当日に搬出までも済ますことができます。
外国為替相場(財務省HP)
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/kawase/index.htm
2019/06/24