今回は知識の整理を兼ねて、「居住者・非居住者」について、お話ししたいと思います。(別名、居住性の問題とも言います。)
ちなみに法人にもこの区別はあるのですが、ウッカリしがちなのは個人のほうです。
そこでここでは個人のお話しをさせて頂きます。さて「居住者・非居住者」とは「何ぞや?」ですが、一般的には日本国内に住んでいる人が居住者で、住んでいない人が非居住者になります。
特定の個人を考えたとき、その人はどちらかに分類される。例外は無い。こう整理できるわけです。
しかし実際にはそうは上手くは行きません。
前提として居住者と非居住者の定義づけが必要なのですが、一般に言われるもの(所得税法における居住性)と、外為で使われる物(その根拠は外為法令)は違っているのです。(ここでの外為法令との略称使用を、お許しください。)
元になる法令が違うのだから定義づけも違う。こういった已む無しの側面もあるのですが、銀行員自身が、この違いを認識していない場合が散見されます。結果として皆さんが振り回されてしまう。こんな事も起こりえます。
そこで違いの例をご紹介しますので、何かのご参考にして頂ければと思います。
【外国人は、日本入国後6ヶ月以上経過すると居住者になる。】
但し日本国内の事業体勤務であれば、直ちに居住者です。(外国為替法令の解釈及び運用について 蔵国第2345号 平成12年12月28日)
これに対して所得税法では、
【「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」をいう。】
つまり外国人が日本に入国して住所を持たなければ、一年を経過するまでは非居住者となるわけです。(国税庁タックスアンサーNo.2875 居住者と非居住者の区分)これは長期出張などで日本に滞在する外国人が、住所を持たない場合(普通は持たないと思いますが)は、税務上は一年ですが、外為取引では長くとも半年経てば、居住者扱いとなる。こういうことになります。
やや煩雑になりましたが具体的な例で考えると、来日して半年経った海外からの非居住者が、海外送金をしようとすると、居住者扱いされることになる。この理解で良いと思います。
外為関係で言えば他にも、
1. 日本人の海外駐在員が一時帰国した場合、帰国後半年未満であれば非居住者扱いである。
2. 日本人の在外公館勤務者は、期間を問わず居住者となる。
3. 日本人が海外でどこにも勤務せず、2年以上となった場合は非居住者となる。
などのように知らなければ判断に苦しむような、ケースがいろいろあります。
もし不明点があれば、取引銀行への問い合わせで良いと思いますが、その回答は外為法関連規定の基づいた物である。この点お忘れ無きようお願いします。
2019/06/01