外為実務と貿易実務。似ているようで違う部分も多々あります。
今回はそんな違いの中から、「リスク」について採りあげたいと思います。
紙幅の関係で、項目上げと若干のコメントに留まると思いますが、その点はご容赦願います。
では早速見ていきましょう。どんな物があるでしょうか。題して外為における3大リスクです。大きく出て面はゆいのですが・・・。
まず一番目はなんと言っても「信用リスク」です。平たく言えば、取引相手の支払の遅れ、不払い、倒産等です。場合によっては、取引先による詐欺も此処に含まれます。これは貿易実務でも大きなポイントだと思います。
二番目は為替リスクです。外為の現場では、取引するときは相手の持つリスクは、検討済だと思うので、実質これが一番目のポイントとなります。外国との取引では、まず逃れられないリスクといえます。
三番目は非常リスクです。カントリーリスクとも呼ばれます。言葉としては、非常危険の方がよく使われます。ちなみに信用リスクも信用危険の方が多いです。一方、為替リスクはそのまま為替リスクで使います。面倒ですね。
以上が教科書にもよく出てくる主な外為リスクです。
実はこの他にもリスクは存在します。正直ここから力が入ります。
4. 母語の相違
在外日本人と取引でもしない限り、母語(一番最初に覚えた言葉)は、相手とこちらでは違うのが普通です。これは国内取引にはないリスクといえます。
5. 取引使用言語におけるハンデの有無
例えば国際語としての英語を取引する場合に、英米人とそれ以外では、取引言語へのハンデが生じる可能性があります。これもリスクです。
6. 準拠法
商取引はすべからく法律の影響下にあります。どこの国の法律に従うのか?これを相手の国とするのはリスクでしょう。
7. 裁判管轄権
準拠法の問題と関連しますが、万一相手方と争いになった場合、自国で裁判が起こせないと、かなり不利になります。しかし一方で折角勝訴判決を得ても、相手国の勝訴判決でないと、強制執行による差し押さえが、出来ないという可能性もあります。この点は悩ましい点ではあります。
8. 法令遵守(コンプライアンス)
これをリスクと呼ぶと、おしかりを受けるかもしれませんが、自国・相手国の法令はもちろん、場合によっては第三国のも、問題となる場合があります。外為の場合は、資金経路に第三国が入るとそうなります。よくあるのは米国が入った場合です。
9. 偽造・変造
外為実務での偽造変造はどうなのか、これもリスクといえます。外為では比較的よく目にします。私もL/C(信用状)の偽物をお客様から持ち込まれて、対応に大変だった思い出があります。
その他にも、「商習慣の違い」「休日の違い」「時差の存在」などが、リスクとして考えられます。
今回は総花的なお話になりましたが、気になる点があったら、お取引の銀行で聞いてみると、違いがより明確になると思います。
2019/03/05