外為実務と貿易実務。似ているようで違う部分も多々あります。そんな違いの中から「リスク」について考えてみます。まず一番目は「信用リスク」です。取引相手の支払の遅れ・不払い・倒産等です。二番目は「為替リスク」。外為の現場ではまず逃れられないリスクです。三番目は「非常リスク」です。カントリーリスクとも呼ばれます。|再び外為取引のリスクについて考える

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2019.03.05

再び外為取引のリスクについて考える

pic_bank_20190305

外為実務と貿易実務。似ているようで違う部分も多々あります。

今回はそんな違いの中から、「リスク」について採りあげたいと思います。

紙幅の関係で、項目上げと若干のコメントに留まると思いますが、その点はご容赦願います。

では早速見ていきましょう。どんな物があるでしょうか。題して外為における3大リスクです。大きく出て面はゆいのですが・・・。

まず一番目はなんと言っても「信用リスク」です。平たく言えば、取引相手の支払の遅れ、不払い、倒産等です。場合によっては、取引先による詐欺も此処に含まれます。これは貿易実務でも大きなポイントだと思います。

二番目は為替リスクです。外為の現場では、取引するときは相手の持つリスクは、検討済だと思うので、実質これが一番目のポイントとなります。外国との取引では、まず逃れられないリスクといえます。

三番目は非常リスクです。カントリーリスクとも呼ばれます。言葉としては、非常危険の方がよく使われます。ちなみに信用リスクも信用危険の方が多いです。一方、為替リスクはそのまま為替リスクで使います。面倒ですね。
以上が教科書にもよく出てくる主な外為リスクです。

実はこの他にもリスクは存在します。正直ここから力が入ります。

4. 母語の相違  
在外日本人と取引でもしない限り、母語(一番最初に覚えた言葉)は、相手とこちらでは違うのが普通です。これは国内取引にはないリスクといえます。

5. 取引使用言語におけるハンデの有無
例えば国際語としての英語を取引する場合に、英米人とそれ以外では、取引言語へのハンデが生じる可能性があります。これもリスクです。

6. 準拠法
商取引はすべからく法律の影響下にあります。どこの国の法律に従うのか?これを相手の国とするのはリスクでしょう。

7. 裁判管轄権
準拠法の問題と関連しますが、万一相手方と争いになった場合、自国で裁判が起こせないと、かなり不利になります。しかし一方で折角勝訴判決を得ても、相手国の勝訴判決でないと、強制執行による差し押さえが、出来ないという可能性もあります。この点は悩ましい点ではあります。

8. 法令遵守(コンプライアンス)
これをリスクと呼ぶと、おしかりを受けるかもしれませんが、自国・相手国の法令はもちろん、場合によっては第三国のも、問題となる場合があります。外為の場合は、資金経路に第三国が入るとそうなります。よくあるのは米国が入った場合です。

9. 偽造・変造
外為実務での偽造変造はどうなのか、これもリスクといえます。外為では比較的よく目にします。私もL/C(信用状)の偽物をお客様から持ち込まれて、対応に大変だった思い出があります。

その他にも、「商習慣の違い」「休日の違い」「時差の存在」などが、リスクとして考えられます。

今回は総花的なお話になりましたが、気になる点があったら、お取引の銀行で聞いてみると、違いがより明確になると思います。

2019/03/05

貿易と銀行実務の関連記事