昨年末、中国は新潟県産コメの輸入を許可することを発表しました。
これは、2011年の福島原発事故以来続けてきた輸入規制を一部緩和する行動で、今後も規制緩和の動きが活発になるのでは、と期待されています。
原発事故後に、日本産食品に関して安全を確認するため輸入規制措置をとった国は、54か国・地域にのぼります。
日本政府はそれらの国々や地域との交渉を続け、徐々に規制措置が緩和・撤廃されてきています。
しかし、中国、韓国、台湾、シンガポール、米国、マカオなど29の国と地域では原発事故による輸入規制措置を継続しています。
主な措置は
1. 特定の都県につき、すべての又は一部の食品につき輸入停止。特定の都県以外は産地証明書、放射性物質検査証明等が必要
例:韓国、中国、シンガポールなど
2. すべての又は特定の食品に対し産地証明書や放射性物質検査証明書を要求
例:インドネシア、ブルネイ、オマーンなど
3. 輸出先国での検査強化
イスラエル
規制品目や求められる証明書などは国・地域ごとに異なりますが、主に要求されるのは日付証明、産地証明、放射性物質検査証明です。水産物は水産庁及び一部の都道府県に、酒類は国税庁(地方国税局)に、それ以外の食品・飼料は農政局に輸出証明書発行を申請します。産地証明など必要な証明区分を選択します。
輸出証明書発給システムを利用するほか、NACCSからの証明書申請手続きが可能です。酒類はNACCSのほか、製造場等の所在地を所管する国税局酒税課に申請します。申請者は輸出者または輸出者の委任を受けた者です。申請後、証明書を郵送又は受領拠点で受け取ります。
【産地証明】
都道府県の「産地」を証明するものです。申請には商品ラベルのコピーや写真等、生産・加工施設の名称・所在地が確認できる書類が必要です。
ここで注意したいのが、産地証明書と原産地証明書の違いです。「産地証明書」は「産地」を証明するものです。一方、商工会議所が発行する「原産地証明書」は貨物の「国籍」を証明するもので、どこの都道府県で生産されたかの証明にはなりません。
【放射性物質検査証明】
検査機関が発行する放射性物質検査結果報告書を提出。国・地域によって認められた検査機関が異なるので、注意しましょう。製造ロット番号がわかる書類と検体の採取状況も添付します。
【日付証明】
生産加工年月日を確認するものです。商品ラベルのコピーや写真、生産製造記録にかかる書類などにより確認します。
各種証明には共通してB/L・AWB・インボイス番号、出発地名など貨物情報も必要ですので、インボイスやパッキングリストなどを提出します。
各国・地域で対応が全く異なりますし、随時更新されているので、輸出前には相手国の規制をよく確認することが大切です。原発事故から8年近くたった今でも、放射能物質による汚染の恐れを理由に輸出が制限されています。改めて、悲惨で各方面に影響の大きな事故であったことを感じます。
農林水産省HP:食品等に係る諸外国への輸出に関する証明書発行について
http://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/index.html#qanda
諸外国・地域の規制措置(平成30年11月30日現在)
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_all_1811.pdf
2019/02/07