私の所属する貿易アドバイザー協会(通称AIBA)のNET論壇で、先日海外送金が話題になりました。
そこで紹介されたのが、TransferWiseと言う仕組みです。PayPalとよく似た感じですが、さらに進化している感触を得ました。
外為畑の人間として、どんな仕組みなのか。興味があります。
皆さんにお勧めできるか調べてみるました。今日はこのお話です。
(お願い)私はTransferWiseについて全くの初心者です。以下の文面は誤解や錯覚が入っているかもしれません。内容については是非ご自身でHP等で確認し、疑問点等は直接運営会社にお問い合わせ下さい。本件に関する内容責任はご容赦願う次第です。
さて本題です。TransferWiseの概要やPayPalとの比較などは、ネットで検索するといろいろと出てきます。なので此処では別の切り口。すなわち外為実務者から見た、この仕組みについての感想についてお話します。
といっても網羅的ではてんこ盛り状態になるので、今回は、
・なぜ通貨交換が手数料なしで市場レートほぼ同値で出来るのか
・取扱金額に制限はないのか、特に円ベースで100万円超の場合は当局への報告はどうなっているのか
この二点に絞っていきます。
先ず一点目の換算レートが実勢ほぼ同値ですが、インターバンク取引ならいざ知らず、顧客取引では先ず考えられません。興味津々です。HPを見てみました。すると意外な仕組みが記載されていました。
実際には通貨交換などしていないのです。日本から米国へUSD送金では、日本では円資金を受けるだけです。この資金は別途、海外から支払いに充当されます。一方米国では予めプールされているUSDから支払いをするだけです。
つまり換算レートは、単に金額算出のための数値にすぎないのです。これなら手数料無しでも商売は出来そうです。さてそうなると取扱金額が気になってきました。上限無しだとある日突然資金繰りが破綻しかねません。
この点はどうでしょうか。見るとHPには金額制限がちゃんとありました。流石です。最大額(1回あたり)1百万円だそうです。これはTransferWise日本法人が、銀行ではなく資金移動業者ですので、資金決済法上の制限金額とも一致します。そしてこの金額以下であれば、いわゆる国外送金等調書の作成義務は、発生しません。事業者にとっては有難いことです。上手く出来ています。
ただHPを見る限りでは1百万円を越えた金額でも、取り扱いを拒絶している訳ではなさそうです。1百万円を超えた送金依頼は、SWIFTでの資金移動を行う。こう記載されています。素直に読めばある一定の金額を越えれば、実際に資金移動を行うと読めます。そしてその場合はSWIFT手数料もかかるようです。
ここからは推測ですが、SWIFT利用の海外送金は、丸ごと銀行にお任せではないかと思います。告知書の受け入れや国外送金等調書の提出も、お任せした銀行にやってもらえれば良いわけです。利用者から徴求した追加の手数料は、これに充当すれば上手くいきます。
このようにTransferWiseは利点の多い送金システムだと思います。ただその手数料は定率です。送金金額が大きくなると、手数料も多く掛かります。数万円程度の小口であれば、何も考える必要は無いと思いますが、数十万円あるいはそれ以上で有れば、念のため銀行手数料と比較することをお勧めします。
特にネットバンクのサービスはかなり競争力があります。他に調べたい点はあるのですが紙幅の関係もあり、今回はここでお終いとします。
2018/09/21