どの国の人でも共通に持っているもので、フランス人がとても大切にしているものがあるとしたら何を想像するでしょうか?
他の国の事情は分かりませんがフランスでは、日本と比べるとこの事に格別の思いを抱いていることは確かです。
この事にはっきりと気がついたのは、留学生として滞在していた時期ではなく、家庭を持ってこちらに生活するようになってからです。子供の出産を機に、徐々にわかり始めました。
それは、誕生日です。子供が生まれてから毎年の誕生日に親戚を呼んでお祝いするようになりました。
お誕生日会などは、子供の時だけするものかと思っていたのですが、大人になっても年をとってもお誕生日会が頻繁に行われているフランス。
大人になると60歳、70歳などの節目の年には、親戚や知人達を招待し盛大にお祝いをする人たちも多くいます。
留学生時代、様々な国籍の友人たちとおしゃべりで盛り上がっていたとき、各自の国のバースデーソングを披露しあう流れになりました。その時、初めて各国にその国の言葉できちんとバースデーソングが存在していることを知りました。また友人たちは、日本に独自の歌がないことに驚いていました。
小さいころは、楽しく待ち遠しかったお誕生日も歳を重ねるにつれて手放しで喜ぶ感じではなくなっているのが現在の私です。
しかし、お誕生日になると義理の家族や友人からはお祝いの電話、メールやプレゼントが毎年きっちりと届くのです。他のことには、割と大らかな国民なのですが、お誕生日の日はきちんと忘れずにお祝いする礼儀正しさに驚く私です。
フランスのお誕生日会の例をいくつか紹介したいと思います。
まず、子供のお誕生日はクラスのお友達を週末の午後などに自宅に招いて一緒に遊ぶのが基本パターン。各自、プレゼントを持参でやってきます。ここでのプレゼントの相場は、ほんとうに決まりがなくて様々です。
小学校5年生の娘のお誕生日会でいただいたプレゼントでフランスらしいと思ったのが香水でした。住んでいる地域によってスタイルは様々です。都市部に住んでいる人は、公園などに連れて行って野外でお誕生日会を開くこともあります。スケートやボーリング、プールに連れていく家庭も多いです。
大人のお誕生日会は、招かれた人たちがお金を出しあって大きなプレゼントを贈る場合もあります。また皆でレストランに行ってごちそうすることもよくあります。この場合、レストランに事前に事情を話してバースデーケーキ持参で来ることもあります。
レストランで食事をしている時も、他の方のお誕生日会に出くわすことも。そういう時は、店内にいる皆が拍手をして見知らぬ人のお誕生日を祝う形となり面白いものです。職場でも、自分の誕生日にケーキを焼いて持参してくる人もみかけます。そういう時は、みなで「おめでとう!」と言ってそのケーキを一緒に食べたりします。
フランス人とビジネスやプライベートでコンタクトがある方、ぜひ気軽にお誕生日にお祝いメッセージを送ってみてください。彼らにとっては歳を重ねてもとても大切な日です。きっと喜んでくれると思います。ここで大切なのは、物を贈る事よりその日にお祝いの言葉を伝えることです。お金もかからず、信頼関係を深めるのにとっておきのお勧めの方法です。ぜひお試しを。
2018/06/14