週末の朝、近くの小さなスーパーへ行きビールを買おうとしたら、
「まだ8時だから販売できないよ」
と店員に言われてしまいました。
フィンランドでのお酒の販売時間は、朝9時から夜21時までと法律で決められています。
今回はフィンランドのアルコールにまつわるあれこれをご紹介します。
日本より厳しいアルコール規制
冒頭のようにアルコールの販売規制は日本と比べて厳しいです。販売時間をはじめ、アルコール度数4.7パーセント以下であれば、スーパーや小さな店舗でも販売していますが、4.7パーセント以上であるワインやウォッカ、リキュール系などは、フィンランドで全国展開しているAlko(アルコ)というお酒専門店へ行かなければなりません。
Alkoでは、フィンランド国産のビールやウォッカをはじめ世界的なブランドはほぼ100%販売されており、中には日本酒や日本のビールも販売している店舗もあります。
最近、アルコール度数の規制が改訂され、4.7パーセントから5.5パーセントへ引き上げられました。近年のAlkoの人員削減や、アルコールをもっと身近に購入できるように、などの背景があるようです。
Alkoの販売時間も、ある程度は店舗によりますが、基本的には平日朝9時から夜20時まで。土曜日は朝9時から夜18時。日曜日は休業です。最近では夜22時まで開店しているスーパーがありますが、21時を過ぎると、お酒コーナーにシャッターが降ろされます。
また購入する人の年齢制限は、アルコール度数22パーセント未満だと、18歳以上。22パーセント以上は20歳以上、と決められています。
この年齢制限で、見た目が若く見られがちなアジア人(日本人も含め)は、よく身分証明書の
提示が求められます。周りのアジア人の友人たちは「また若く見られちゃった〜」と苦笑しながらお店でアルコールを買ったり、バーやクラブで飲んでいるという話しをよく聞きます。
こうした厳しい規制は、アルコール中毒者の増加や未成年者の飲酒などの社会問題を背景として取り締まられています。
北国ならではの楽しみ方
アルコール規制が厳しい一方、フィンランドをはじめとする北欧諸国では家庭でライ麦を使って自家製ビールをつくる伝統があります。フィンランドのスーパーでは、手頃に作れるビール作りキットが売っています。
自家製ビールは「KotiKalja」(Koti =家、Kalja=ライトビール)と言われ、ライ麦の麦芽だけのものや、酵母とシロップがセットで売っているものもあります。ビールを入れる容器や貯蔵する瓶なども合わせて購入できます。作り方は簡単。そのセットをお湯に入れて溶かし、室温で放置すること24時間。瓶詰めをしてさらに2-3日置くとビールらしく落ち着いた味わいになってきます。
アルコール度数はほぼゼロで、ノンアルコール・ビールといったところでしょうか。食事の飲み物としてレストランのランチや大学のカフェでも飲むことができます。
暗くて長い冬の一つの楽しみとしてビール作りは人気のようで、知人や友人たちもその昔楽しんでいたとか。アルコール度数が低いビール作りに熱中するなら良いですが、社会問題となっているアルコール依存症にならない程度のたしなみは、世界のどこにいても身に付けたいものです。
2018/05/28