チェッカーという仕事が銀行にあります。
この仕事、実は銀行のHP等どこを見ても説明は出ていません。
銀行の人間でも、「チェッカー?」「ん???」の反応でしょう。
今回はこんな不思議な仕事、「チェッカー」のお話です。
皆さんはチェッカーと聞いて何を連想しますか?レジ係やキャシャーを思い浮かべる人が、大多数と思います。もちろんそれは大いに正しいです。
しかし外為のチェッカーは、別に現金担当ではありません。では何をしてるのでしょうか?実は輸出の仕事をしています。もう少し丁寧に言えば、輸出で書類点検の仕事をしています。お客様から買い取った輸出書類と、信用状の条件が一致しているか、その内容を点検しているのです。
この点検のことをドキュメンツ・チェックと呼んでいます。チェッカーとはこのドキュメンツ・チェックをする人を指します。
さてチェッカーの主な仕事は、
1. 書類点検
2. 船積書類と信用状条件との不一致対応
3. お客様との折衝
4. 海外銀行との折衝
です。
実はどの項目もイレギュラーな場合が多く、解決には担当者の力量が問われる物ばかりです。かく言う私もチェッカー経験者なのですが、本当に緊張の連続でした。
間違いを起こしたくないばかりに、丁寧に書類の点検をすると。気になることばかり目について、さっぱりスピードが上がりません。あっという間に書類の山に埋もれてました。かといってスピード重視でやると、どうしても目が粗くなり、海外からアンペイド(不渡りの意味です)が掛かって来ました。
この種のアンペイドが、チェッカーにとって一番不名誉でした。チェックミスによるアンペイドと呼んでましたが、よくお客様からクレームされました。そんなこんなで悶々とする。こんな日常を送っていました。
こんなお話をすると、なんでそんな仕事がいいんだ。こういわれそうですが、チェッカーの仕事は、経験が浅いと歯が立ちません。つまりチェッカーが勤まるというのは、一定の知識・経験を積んでいるという証明になるのです。これは大変に名誉なことでした。事実、このようなチェッカー達をとりまとめる立場の人は、チーフ・チェッカーと呼ばれ一定の市場価値がありました。私の知っている人のうち何人かは、外銀からヘッドハンティングされていました。
このようにチェッカーは、信用状取引がある限り不変のようですが、昨今のAI(人工知能)の進展見ていると、そうもいえないようです。個々のチェッカーはAIでもできそうです。人間はチーフ・チェッカーだけでいい。こんな世の中になるかもしれません。
いずれにしても銀行自身が生き残りをかけている現在、市場価値のあるチェッカーといえども、その先行きには目が離せません。今回はそんなチェッカーのご紹介でした。
2018/03/20