初めてL/C取引をするという輸出業者の方から、銀行手数料や利息の負担者について問い合わせがありました。輸出者や輸入者にとってこれは結構切実な問題です。 |L/C取引、銀行手数料と利息は誰が払う?

  • Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2017.12.22

L/C取引、銀行手数料と利息は誰が払う?

pic_bank_20171222

先日、初めてL/C取引をするという輸出業者の方から、手数料や利息の負担者について照会がありました。

取引銀行に聞いたら自分の銀行については教えてくれても、他の銀行のことや、外国のことは分からないという返事で、これでは相手と交渉できず困っている。との事でした。

このお話は皆さんのお役にも立つのではと思い、少しお話ししてみたいと思います。

実はこの問題、輸出者や輸入者にとって結構切実な問題です。銀行手数料だけで決済代金の1%ぐらいになる例もあり、かつてネットで利幅が3%しかないとこぼすお取引先から、よく「バンク・チャージは高すぎる!何とかしろ!」と、お叱りを受けていました。

そんなこと言われてもこちらにも事情が大ありなのですが(これ本音)、当時はなだめに回っていました。

本題に戻ります。この問題にはこれと言う正解はありません。世界的な取り決め(信用状統一規則のような)があるわけでなく、そうかといって各銀行が勝手に決めているわけでもありません。

要は商習慣の問題といえそうです。おえて正解らしきものを導き出すと、銀行利息は「輸出者負担」、銀行手数料は「輸入者負担」となります。ほぼこれでコンセンサスが得られています。ただ実際はどうなの?と言うと、銀行利息「輸入者負担」も多く目にしますし、銀行手数料「輸出者負担」も多く目にします。

これは何とも不思議な気持ちになります。そこでこの点を説明します。まず利息ですがL/C取引で発生するのは、手形サイト(振出から決済までの期間)を問わず、輸出者が銀行に買取を依頼するときに発生する割引利息と、手形サイトがユーザンス物(期間物とも言います)で発生する、振出日から満期日までの期間利息の二つがあります。

前者は輸入者に関係のない話で100%輸出者負担です。後者は満期日まで決済を輸出者が待つという条件になりますので、これも輸出者負担です。

ところが実際のL/Cでは期間利息に関して、輸入者負担も多く目にします。これはなぜでしょうか?

じつは輸入者の「利息を払っても、支払は遅い方がいい。」と、輸出者の「利息はいらないから、早く払って欲しい。」この二つの相反する要請に銀行が応える形で、利息を輸入者負担にした上で、銀行が一覧で割り引くというものです。詳細は省きますが韓国向け輸出でよく見られます。

次に手数料ですが、誰がL/C発行を頼んだのか。この点に着目して原則は輸入者負担となっています。しかし輸出者の取引銀行の手数料や、どこかを経由した場合のその経由銀行の手数料まで、輸入者に負担させるのは如何なものかとの観点から、L/C条件では、輸入者の属する国以外の場所で発生した銀行手数料はすべて輸出者負担とする。

これが圧倒的多数です。

2017/12/22

貿易と銀行実務の関連記事