先日の日経朝刊に「メガ銀大リストラ時代」という記事が出ていました。
思わずドキンとして記事に読み入ってしまいましたが、さすがは日経です。内容はキチンとしており安心しました。
ただ他の人が読んだらどんな気持ちか、と心配になりました。
そこで今回はこの記事を私なりに少しかみ砕いて、皆さんにお話をしてみたいと思います。
まず最初に申し上げたいのは、「リストラ=人減らし」ではない点です。この日経記事にも当然ありません。タイトルこそ「大リストラ時代」ですが、決して「リストラ=人減らし」とは述べていません。
「リストラ=構造改革」 ⇒ 自動化・効率化 ⇒ 事務量の削減。記事ではリストラの流れを、このように説明しているだけです。
実は3メガバンクでは早くから危機意識を持ち、この構造改革を開始していました。しかしながら、今回はいよいよこの待ったなしの状況下、3メガ共に全力で取り組むということです。記事ではこのリストラ効果を端的に表現するため、3メガ合計で3.2万人分の事務量が削減されるとしているのです。
ここで注意して頂きたいのは、リストラにより減るのは事務量であって、銀行員の数そのものではないという点です。リストラで削減された事務に携わっていた銀行員は、今後は銀行としてもうかる仕事についてもらうということになります。決して大量に退職者が出るということではありません。
さてこのリストラが銀行の外為窓口を通して、貿易実務に与える影響を考えてみます。
これは大きく二つあると思います。
一つ目はより一層の自動化・省力化です。外為は預金や貸付と異なり、その対象顧客が限られるため、自動化は費用対効果の点で後回しにされがちでした。3メガの中ではみずほ銀行が、比較的昔からの体制を維持しており、そのため収益面でのテコ入れが強調されているのではないでしょうか。
しかし残る2行も内部事務はセンターに集中していますが、そこで行われている業務には、かなりのマンパワーが割かれています。今後はこの部分にさらにメスが入り、徹底的な省力化が図られるのだと思います。省力化に欠かせない自動化・機械化の大きな利点に、事務事故・事務ミスの根絶があります。
いくら事務センターで専門的にやっている人間でも、必ず事故やミスは起きます。私のころはその確率は100万回に3・4回と教えられました。同じことを100万回やると4回弱は間違えるということです。
自動化・機械化すればこれが「ゼロ」になります。これは大きいです。さらに人間であれば24時間ぶっ通しで仕事なんかできませんが、自動化・機械化すればこれも可能で、結果としてスピードアップとなります。いずれも顧客満足の向上に直結です。
二つ目は余剰となった外為担当者が外為専門のアドバイザーとして、皆さんの仕事のサポートをしていくことが期待できます。これは正しく私のような貿易アドバイザーが、銀行の中で多く誕生するものを予見させるものです。
以上見てきましたようにこのメガ銀行の動きは、貿易実務にたずさわる皆さんの仕事にも大きなメリットをもたらす可能性が大きく、是非前向きに受け入れて頂ければと思います。
2017/11/01