過去二回にわたってB/L紛失騒動の背景と、それに対する初動をご説明しました。
今回はその続編として対策編をお送りします。(なお次回でこの一連のお話はお終いです)
私の所属する貿易アドバイザー協会での論調は、大きく二つに分かれました。
すなわち一つ目の考え方は、輸入者(日本側)は何もせず「静観」すれば良い。この立場をとるべきだと言うものです。
この意見からすると今回のB/L紛失は、日本側の責任はゼロなので、輸入者は何もしなくて良い。というか何もすべきではない。こういった見解になります。
この立場では解決に向けての手続きを含めて、すべての処理は英国の業者が行うべきである。こうなります。この考えの根っこには、B/L紛失は本当か?もしかしたら第三者に譲渡していたり、譲渡しないまでも別途銀行に買取に持ち込んだのではないか? 詰まる所、日本側は騙されているのではないか? こういった疑いが消せないと考えているわけです。海外取引は国内取引とは違う。性悪説を取るべきである。このような主張です。
もう一つの考え方は、それでは何も解決しないので、問題解決に向けて日本側も何らかの役割発揮をすべき。
と言うものです。たしかに船会社は主体的には動いてくれませんので、貨物を引取りたいのであれば、輸入者が何かをせざるを得ないのも事実です。(もちろん費用負担は別問題です)
具体的な実務対応としては、船会社と折衝して日本でL/G(荷物引取保証)を差し入れる。これが必要になると思われます。但しこの場合Single L/G(輸入者の署名だけ)は、まず船会社が受けませんので、銀行連署のL/Gが必要になります。
実はこの手のL/G発行は本当に大変です。詳しくは機会を改めますがL/Cが介在しない取引で、銀行がL/Gに連署するのは相当ハードルが高いです。これは覚えておいてください。
また法的な対応として、「除権決定」の手続きを取る。これが必要となってきます。(除権決定がおりればB/Lの効力がなくなります)
また別の方法として英国の業者に対して保証を出してやり、B/L再発行のサポートを行う。これが有効な場合もあります。
また積戻しするのであれば、日本側での手続きが必要です。これに関する船賃は、日本側で一旦支払う必要があります。
このようにいろいろな議論がなされました。
で結論ですが、最終的には輸入者の総合判断である。こうなりました。しかしこのような、検討すべき点がてんこ盛りの話を、いろんな人からアドバイスされて判断できるのだろうかと、正直心配になってきました。そんな老婆心も込めて、次回は私の考えをお話ししたいと思います。
2017/10/02