外貨を円、逆に円を外貨にする時、交換相場が必要となります。
みなさん。銀行はどんな交換相場を使っているか、ご存知ですか?
銀行の外為取引に慣れていないお客さまは、外為取引に使う換算相場がよく分からず、銀行が勝手に作って使っているのではないかと、考える方が結構いらっしゃいます。
本当はもちろん違います!
ただ銀行の方でも積極的に説明していないので、換算相場がいくつもあるように思えてしまうのです。ではこの換算相場。どんなものがあるのでしょうか。代表的な三種類を挙げていきます。
まず一番は「対顧客相場」と呼ばれるものです。これは文字通り「対顧(たいこ)」すなわちお客様取引に使う相場です。営業日ごとに相場が立てられることと、取引内容によって適用される換算相場が異なるのが特徴です。よく貿易実務の本に書かれているT.T.S.やT.T.B.は、この相場体系に含まれるレートになります。
二番目は「仮換算相場」とか「換算定率相場」と呼ばれるものです。法律上も商習慣上も決まった名称がないので、銀行ごとに呼び方は異なっているようです。皆さんの周りで「社内レート」と呼んでいるものが、これに近い存在だと思います。実際の通貨交換は発生しませんが、何らかの事情で外貨を円に換算する必要が、あるため定められています。
通常、前月末の公示仲値を翌月に適用することになります。ここの運用も銀行によっては若干異なります。この相場はいわば月替わり相場ともいえます。皆さんの会社の「社内レート」は、一年間そのままが普通だと思います。しかし銀行の「仮換算相場」毎月変わっていきます。
ここでよく問題が発生します。銀行から「極度」と呼ばれる与信枠をもらって反復継続的に外為取引を行っていると、外貨残高が動いてないのに、枠がいっぱいになっている。こんな状況が良く発生します。これは外貨から円貨への換算相場が、月またがりとなって変更になったことに由来します。
円高に動いた場合は問題ないのですが(この場合円価は減ります)、円安に動いた場合が要注意です。(この場合円価は増えます)この円安の場合に、枠がいっぱいになる可能性が出てきます。
三番目は、「対当局報告換算相場」です。これも正式な名称ではないのですが、要は政府や日銀に報告書を提出する際の、外貨を円に換算するレートです。基準外国為替相場・裁定外国為替相場、報告省令レートがそうです。皆さんが目にすることはほとんどないと思いますが、外為に関して当局への報告が必要な時、必ずこの相場で報告必要の有無を判断する必要があります。
こちらの存在は頭の片隅に置いておいてください。
以上お話ししてきましたが、銀行の使う換算相場は複数あるように見えますが、それぞれの使い道は異なります。銀行では使い道によってシステムサポートもされており、異なる相場を適用することはありません。どうぞ安心してお取引下さい。
2017/06/17