先日も関西の地銀3行が、実質合併との報道がありました。銀行が合併すると、皆さんにもいろいろ影響があります。
今回は、取引銀行の合併でどんな影響が出るのか。これを二回に分けてお話しします。
先ず考えるのは合併と聞いたら、自分の取引銀行は合併する方なのか、される方なのかの見極めです。ここからは合併する方を「合併行」、される方を「被合併行」と呼びます。
皆さんの取引銀行が「合併行」なら一安心です。今までどおりが前提です。しかし、「被合併行」ならそうはいきません。場合によっては大変な思いをする場合があります。
ではどこでそれを見分けるのか。よく商業登記上の存続会社が「合併行」では?と聞かれるのですが、実際は「被合併行」を存続会社にする例もあり、一概には言えません。(これを逆さ合併といいます)
具定例では、三井住友銀行とわかしお銀行があります。実は登記上の存続会社はわかしお銀行です。合併後に名前を三井住友に替えて、表面的には三井住友銀行が、存続したようになっています。元から有った三井住友銀行は、合併で登記上消滅しました。
これは特別な例かもしれませんが、それはそれとして見分け方を4点ご紹介します。
1.新銀行名に注目
新銀行の名前に注目です。どちらかの名前でスタートならそちらが「合併行」です。まったく新しい名前ならこの点からは判断できません。注意すべきは二つの銀行を合わせた場合です。この場合は力関係がハッキリしていれば、強い方が先になりますが、「対等の精神で合併」をうたうようであれば、後に来た方が合併行の場合が多いようです。
2.新頭取はどちら出身か
合併では新銀行の頭取が重要です。新銀行の頭取を出した方が、主導権を握っています。見返りとして会長は被合併行の頭取がなる場合が多いのですが、このごろはこれに持株会社が絡んできて、さらにたすき掛け人事を行う場合もあります。
3.本店はどこか
力の差があれば「合併行」の本店が、そのまま新本店となります。ただ全く別の場所に変えたり、大きな都市の方が便利だからと、「被合併行」本店を、新本店にする場合もあります。
4.基幹システムはどちらの銀行のものを使うのか
銀行はシステム構築に莫大な費用をかけています。銀行が新しくなったからと言って、新しいシステムを作るのでは、費用と時間が掛かり過ぎます。そこで一方の銀行のシステムに寄せるのですが、このときの基準がシステムそのものの優劣よりも、「合併行」のシステムが、そのまま新銀行のシステムになる場合が、本当に多く目につきます。
つまりシステムが変わった方が「被合併行」であり、そちら側と取引していたのなら、大きな影響を受けることになります。(中にいる行員もここが一番ネックです。)
次回はこれらを踏まえて、留意点をいくつかお話しします。
2017/03/27