為替相場の動向は世界的な社会情勢に大きく影響を受けます。これから円高に行くのか円安に行くのか、為替相場に確信を持って他人に断言できる人はまずいないと思います。 |先行き不透明な為替相場にどう対応する?

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公開日:2017.03.05

先行き不透明な為替相場にどう対応する?

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よく皆さんから為替変動について聞かれます。

為替リスクへのヘッジ方法はいろいろと出ていますが、為替変動への取り組み方針については、書かれたものは少ないようです。そこで今回は、ここにフォーカスを当ててみたいと思います。

かつては当たらない物の代表に天気予報がありました。厄除けのおまじないになっていた時期もあります。「天気予報、天気予報」とつぶやけば、厄に当たらないということです。(もちろん今はよく適中します!)

今でいえば社会情勢の予想が当たらない筆頭でしょうか。昨年一年を振り返っても、英国のEU離脱と米国大統領選挙の結果を、二つとも的中させた人は皆無のように見受けます。為替相場の動向は、こんな社会情勢に大きく影響を受けます。これから円高に行くのか、円安に行くのか、確信を持って他人に断言できる人は、まずいないと思います。

貿易をやっているみなさんは、こんな状況でも、資金決済にはドルやユーロとの通貨交換が必要になります。せっかく商売本体で利益を確保しても、為替相場で損を出しては元も子もありません。そこで自分よりは少しは詳しいだろうと、銀行の担当者に意見を求めるわけです。

しかしこちらも特別な情報は普通無いので、断言できないのが正直なところなのです。しかしそれではお話になりませんので、以下のポイントをお伝えするようにしています。

先ず一点目は、「資金決済で為替リスクは取らない。」です。あくまでも商売を決めた段階(遅くとも取引を完了段階)で、
為替相場を確定させることです。取引が終わっても、相場が未確定では危険すぎます。為替予約をとるのでも、外貨決済するのでも構いません。とにかく為替リスクをヘッジしておくべきです。

二点目は、「為替リスクのカバー率を決める。」です。通貨交換すべき金額の内、どれくらいの割合で、為替ヘッジをかけるのかを数字で表したものです。0から100%までの決め方があります。

実は一点目のお話は、カバー率を100%にすることです。カバー率100%だとその商売自体の採算は確定しますが、為替相場が大きく動いて、商品市場に大きな影響が出た場合、それをフォローし難くなる面があります。そこで通常はある程度フリーハンドを確保するために、為替をあえて100%押さえないようにするわけです。

実際のところカバー率はまちまちですが、少ないところで30~50&%、多いところでは90~100%のようです。ざっくり言って粗利の範囲内でリスクをとっている。そんな印象です。

三点目は、皆さんご自身で思うところはあっても、長期(一年超)の為替予約は取らないです。長期為替予約はもちろん可能ですが、実際のマーケットでの出会いが限られるため、どうしてもリスクプレミアムが高くなりがちで、それが確定する予約相場に影響してきます。(もちろん悪い方にです)

為替予約の採算確定は一年以内にして下さい。出来れば、3ヵ月ぐらいでつないでいくのが良いと思います。

この3点を墨守すれば、為替で大儲けは無理ですが、大損もしないといえます。今後も不確実な情勢が続くと思いますが、くれぐれも「為替で一山!」とは思わないようにして下さい。

2017/03/06

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