税制改定により平成29年1月1日以降に法廷納期限を迎える関税及び内国消費税等に課される加算税が変わります。|税制改定に伴い加算税が変わる

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公開日:2017.01.21  / 最終更新日:2017.02.26

税制改定に伴い加算税が変わる

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平成29年1月1日以降に法廷納期限を迎える関税及び内国消費税等に課される加算税が変わります。

現行では税関の事後調査の通知があった後でも、更正予知前に修正申告がされた場合、過少申告加算税は課されませんでした。

しかし、平成29年1月1日以降に法廷納期限(輸入許可日)を迎えるものについては、調査通知があった日から更正予知前の自主的な修正申告に対しても、過少申告加算税5%が課されます。

更正予知後は過少申告加算税10%で変わりません。
*納付すべき関税等の額が、当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超過額に5%の加算が発生します。

これは、事後調査の連絡があってから慌てて修正申告をして加算税を免れるというケースが多かったためと考えられます。また、事業者のコンプライアンス意識をさらに高め自主的な修正申告を促すことを目的としています。

申告すべき貨物に対し申告していなかった場合は無申告加算税が課されます。申告すべき日から無申告加算税5%が発生し、事後調査通知後に10%、更正予知後で15%と加算税率が上がっていきます。
*こちらも納付すべき税額が50万円を超える場合は、その超過額に5%加算します。

さらに同一の税目について過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課されたことがある輸入者については、現行よりさらに10%の加算税が課されます。無申告に対する重加算税がもともとの40%からさらに10%加算され、50%になります。

悪質な行為を防止するためで、意図的にアンダーバリューインボイスで通関を繰り返している、原産地証明書を偽造して特恵を利用するなど、悪質な関税脱税に対してより重いペナルティーが課されるのです。

過少申告や無申告に対して、加算税だけでなく、延滞税も生じます。延滞税は法廷納期限日(輸入許可日)の翌日から起算されますので、修正申告が遅れれば遅れるほど膨らみます。

さて、税関の事後調査に関してですが、事後調査は輸出入を行っていれば事業者の規模に関係なくやってきます。個人で輸入ビジネスをしている主婦のもとにも税関から連絡がきてとても焦った、という話も聞きます。個人輸入を行っている方に対しては連絡が入ったからといって、必ずしも調査官が来るわけではないようですが、準備はしておかなければなりません。

通常2,3年に一度ですが、結果が悪ければ要指導事業者ということで、毎年事後調査が入る、ということもあるようです。調査員にもノルマがあるとかないとか。取りやすいところから取ろうという思惑もあるのかもしれません。

必要なものは契約書、仕入書、会計帳簿書類等です。税関はNACCSというシステムで輸出入取引の有無を握っていますので、金型を送っているのに、その後の輸入に評価加算された形跡がない、といったこともわかります。契約書や帳簿上はロイヤリティを支払っているのに対象の貨物に加算されていない、などといったことを調べます。
輸出の場合は適正な輸出が行われているかを指導します。

また、輸出者または輸入者は輸出入した貨物の帳簿書類の一定期間の保存が義務付けられています。帳簿書類がしっかり保管されているかも調査の対象となります。大きな貨物に関してはそれなりに管理されていても、国際郵便や突発的な小口の貨物に関して整理されていない場合は、対策が必要です。

2017/01/21

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