フィンランドからロシア域内を通らず直接欧州大陸とつながることで、物流網に変革がおきる可能性があります。欧州の海運会社がすでにフィンランド企業などと連携して物流事業の拡大を狙っています。|北欧の物流網の変革に一役買うフィンランド

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公開日:2017.01.14  / 最終更新日:2022.10.20

Terve! 北欧の物流網の変革に一役買うフィンランド

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2017年が始まりました。今年はフィンランドがロシア帝国から独立を宣言して100年目を迎えます。

歴史にはじまり、シベリウス音楽やアールト建築などの文化、サウナに雪の城、そしてオーロラや自然環境ツアーなどフィンランドらしい記念イベントがずらり。国民が一緒になって建国に携わってきたことから、イベントのテーマは「みんなで一緒に祝おう!”Yhdessä”」。

国内外の人々みんなで祝うために他国でもイベントが開催されています。もちろん日本でも開催予定ですので、ご興味のある方は大使館を中心にぜひご参加ください。

■未来の通勤カプセル

さて「欧州の玄関口」といわれるフィンランド・ヘルシンキ。ここに1000km/hを超えるスピードで走行するカプセルおよび磁気駆動型の低気圧チューブ「ハイパー・ループ」の建設が予定されています。アメリカのHyperloop One 社がドバイなどに建設中のこのハイパー・ループを、今度はフィンランドに建設し、隣国スウェーデンの首都ストックホルムと30分でつなぐことを計画しています。

2028年ごろ開業を目標に投資額およそ190億ユーロ。ヘルシンキからストックホルムまでのおよそ500km区間を1200km/hで運行予定です。

私が住んでいる南西部のトゥルク市もこのループが開通する予定で、そうなると今までバスで2時間、電車でおよそ1時間かけてヘルシンキへ行っていたのが、わずか10分ほどに。ストックホルムまでは飛行機でおよそ1時間、船でおよそ9時間のところ、わずか20分ほどに。カプセルに乗車し隣国へ通勤通学することも夢じゃなくなるようです。

■バルト海沿岸の物流網が変わるか?

このハイパー・ループとは別にフィンランド政府は、ヘルシンキとエストニアの首都タリンとの海底トンネル開通の検討を進めています。現在の調査では、タリン側の土壌が柔らかく、地下水に問題があるため難航中です。さらにトンネル建設と鉄道開業コストの40%以上がEUの資金でカバーする必要があり、この予算額についても再検討される予定です。

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こちらの投資額はおよそ130億ユーロ。現在4月から10月まで期間限定での船の運行でおよそ2時間かかるところが、開通すればこちらも30分。片道36ユーロで年間1100万人以上の輸送を見込んでいます。

さらにタリンと陸続きになるとその先のポーランドや中欧諸国にまで物流網が伸び、輸送距離がぐんと長くなります。結果、トラックなどの基準や規定は欧州仕様となるため、このトンネル建設にはEUからの資金をなんとしてでも確保しなければならないと、各関係者は口を揃えて言います。

何よりもフィンランドからロシア域内を通らず直接欧州大陸とつながることで、物流全体に変化が起きる可能性をすでに示唆している業界があります。デンマーク、オランダ、ドイツ、スウェーデンの海運会社です。彼らはすでにフィンランド企業などと連携して物流事業の拡大を狙っています。

ハイパー・ループはあと12年。海底トンネルは難航中なので目標2030年には間に合わないようですが、どちらにせよ、あと20年もすれば北欧と欧州大陸間の物流網が変わってくるでしょう。フィンランドは次の100年をめざして小国家としての意義を見出せるか。非常に楽しみです。

2017/01/16

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