欧州へ送金しようと思ったら、「IBAN」が必要と言われた。これって何?
銀行の窓口で海外送金を頼むと、受取人の情報以外に、「IBAN」(アイバンと言います)を求められることがあります。
今回はこの「IBAN」にまつわるお話です。
「IBAN」とはおもに欧州で使用されている、顧客識別符号です。簡単に言うと、欧州版マイナンバーと言った所でしょうか。
(やや乱暴ですが)
正式名称はInternational Bank Account Numberとなります。最大では34文字にもなる、数字とアルファベットの一連番号です。この一連番号で、取引相手の国・地域から個人の口座番号まで、特定することができます。
欧州への送金では「IBAN」が入ってないと、相手への資金到着の遅延や、余計な手数料発生の恐れが大です。
しかも最悪、資金が戻ってくることもあります。この少々厄介な「IBAN」ですが、幾つか留意点があります。
1.「IBAN」はグローバル・スタンダードではない。
この「IBAN」はアメリカやアジア(もちろん日本も)などでは、使われていません。あくまでも欧州中心の制度です。
2.欧州諸国内でも自国限定のナンバー制度あり。
では欧州では「IBAN」さえ分かればよいか。というと、そうともいえません。各国が独自のナンバー制度を設けているからです。つまりそれらの国への送金は、「IBAN」に加えて、独自ナンバーが必要となります。(ドイツのBLZが有名です)
3. 送金相手の「IBAN」は一つとは限らない。
こんな事どこにも出ていませんが、本当の話です。よく確認しないで送金すると、先方とトラブルになりかねません。実例では、米ドル契約のものを米ドルで送金したら、相手からの「IBAN」がユーロ口座のものだったので、現地の銀行で勝手に米ドルからユーロに交換のうえ、入金されてしてしまった。ということがありました。
日本サイドのミスではないのですが、当初は海外から口座相違のクレームの形で来たので、事実を確認して解決するまでに、相当な時間と費用が掛かりました。
4.相手からしつこく日本の「IBAN」を聞いてくる。
欧州では「IBAN」有って当たり前なので、こちらにも当然のように「IBAN」を教えろと言ってきます。ところが日本には「IBAN」はありません。ここで良くボタンのかけ違いが発生します。先方の思い込みは相当なもので、現地の銀行を巻き込んでワーワー言ってきます。こちらとしては「制度として無いものは無い」ので、お客様に「無いものは無い」と、押し返してもらうことになります。
これも一円の得にもならない、結構骨の折れる仕事でした。
そんな「IBAN」ですが、欧州では引き続き使われると思います。それ以外の地域では全く分かりません。(というか無理そうですが)
結局「IBAN」は、海外送金の仕組み自体が、変わらない限り、その都度注意していく必要があるのだと思います。