銀行の融資審査ポイントの最終回。
今回は「他にメリットはありませんか」です。
銀行はいつの時代でも「儲けてなんぼ」の世界です。
どんな立派な案件でも、採算が取れなければ、
銀行審査はボツ!となります。
よく銀行の仕事は「お役所仕事」と揶揄されますが、
採算重視という点では、「お役所仕事」とは決定的に違います。
(昨今では、お役所と言えども民間の力を借りて、
採算にも配慮した事業も行っているようですが・・・。)
ところで銀行営業の現場にいると、
これではとても(銀行として)採算が取れないとか、
(銀行として)採算が見通せないといった案件でも、
審査が通ることがあります。
これはどういうことでしょうか?
銀行が、内容に感激して採算度外視でOKした。(ん!?)
あるいは、
銀行全体で融資のバーゲンセールをやっていた。(さらに!?)
どちらも、ちょっと変ですね。
もちろん銀行はこんなことで、OKしたわけではありません。
ではなぜOKになったのでしょうか。
じつは銀行には「総合採算」という考え方があります。
この考え方は簡単に言うと、
その案件だけでは、どうあがいても赤字の場合でも、
その顧客との取引全体で見たら、
あるいは他の要素も入れて考えると採算に乗る。
こうであれば審査は通そうという考え方です。
これには具体的には、二つのアプローチがあります。
一つ目は、いろいろな取引を自分の銀行に引き込んで、
文字通り総合的に採算を確保しようというものです。
これはある意味当たり前の話でして、
たとえ単体ベースが黒字でも、
その融資だけでは、やがてじり貧になってしまいます。
よってここの部分、銀行としても外せないので、
既に取引すべてを、そこの銀行に持ち込んでいるのでなければ、
相当強烈な折衝を仕掛けてきます。
その代りここをクリアーすると、
審査が完了するという場合が多いのも事実です。
二つ目は取引内容を充実させて、
採算を向上させるというやり方です。
法人名義で融資申し込みをしているのであれば、
個人取引(たとえば社長や役員)を依頼する。とか、
従業員取引も依頼する。といった具合です。
ただしこの方法は、銀行の優先的地位の濫用(らんよう)という、
難しい問題を含むため、明確には依頼できません。
せいぜい「社長さんの取引銀行はどちらですか?」とか、
「従業員さんの給与振込。どこの銀行が元受ですか?」と、
聞くぐらいです。
もしこんな質問が飛んできたら、
相手としては採算面を問題としている。
つまり他のポイントはクリアーしている。と考えて下さい。
何れの場合でも、担当者段階では審査をOKとしていますので、
担当者が動きやすいような環境になれば、
結果として自分の依頼も通り易くなるという構図ですので、
もうひと踏ん張りと考えてもらえばよいと思います。
2016/07/9 貿易実務の情報サイトらくらく貿易