先ごろ、オランダで、2025年までには、化石燃料を動力源とする自動車の販売を禁止しようという法案が下院議会に提出され、多数の賛成者を得ました。
この法案が可決されれば、ガソリン車はもとより、軽油、ハイブリッドカーまでもが規制されることになり、販売が許可されるのは、電気自動車のみ、という図式ができあがります。
オランダ国内ではすでに電気自動車の占める割合が全自動車の9.6%(4300台)。エコ意識の高さが今回の結果を招いたと言えそうですが、施行までの期間の短さを懸念する声も多く、2025年までに実現に至るかは微妙なところ。
とはいうものの、自動車メーカーをはじめ、新しい市場に寄せる期待も高く、水素を燃料とする燃料電池車両は販売が許可される見込みとあって、どんな車両が開発され、販売されるのか、そしてマーケットがどこまで拡大するのか今後の動きに目が離せないところです。
また、加速、操舵、ブレーキのすべての自動車運転操作を無人で行う、自動運転車が一般道を走る社会も、ここにきていよいよ現実味を帯びてきました。
この春、ドイツ、スウェーデン、デンマークなどから一斉にスタートした自動運転のトラック隊列は、オランダ・ロッテルダムに無事ゴール。人の手を介さずに安全で正確にトラックが走行できることが実証されました。この自動運転車を生産し、走行させるための技術は徐々に整いつつあり、今後、実際導入されるにあたってのおもなハードルは、高速道路での専用レーンや専用の出入り口の整備といったインフラや、行政への働きかけにあるともいえそう。
自動運転のトラック導入には、安全面、コスト面などに大きなメリットがあり、導入を待ち望む声も少なくない。
安全面においては、日本でのトラック運転手の労働者割合は10万人につき27人となっており、年間死亡者数は940人。ほかの職業と比較すると死亡者数が突出して多くなっているこの数字を、自動運転トラックなら限りなくゼロにすることができます。
またコスト面を見てみると、一般的にトラックを使用した場合の輸送コストの75%が人件費と言われていて、自動化が実現すればこの分のコストは確実に削減可能となるほか、人が運転している場合に必要な休憩時間もかからないため、生産性はさらに開きが出る見込み。
また、自動運転のトラックは、一定の速度を保ちながらの走行が可能なため、燃料効率が非常にいいという特徴があるほか、WI-FI機能を使って何台かが等間隔で走行するといった方法を採用すれば、前の車による空気抵抗が利用でき、より燃費があがる。
平成23年現在、日本におけるトラック運転手数はおよそ79万人で、もし、トラックの自動運転が導入されればこの労働者は不要となるほか、ドライバー相手の休憩施設やガソリンスタンドなどが影響を受けるのは必至で、こうしたデメリットを指摘する声も無視できませんが、大勢は導入にあるといえるでしょう。
2016/6/16 フリーライター 蛭川 薫