景気動向や株式市場の行方、国や企業の運営など、
いろいろな点で為替相場は大きな影響を持っています。
今回は為替相場の動向は、だれの影響が大きく
市場原理を働かせているのか。
この点を検討してみたいと思います。
なお長期的な観点は、ここでは触れない事にします。
「為替」と「金利」は同様に語られることが多いのですが、
金利の決定には、自由な部分と規制された部分があります。
ところが先進国の為替は、これと言って決めは見当たりません。
あくまでも市場原理で自由に決めることが出来ます。
ただなんでもかんでも自由かというと、そうでもありません。
これはどういうことなのでしょうか。
実は為替相場は人気投票にたとえられます。
人気を集めそうな通貨があると、
そこに多くの市場参加者の関心が集まり、
結果として、実際の売買もその通貨に集中してきます。
いわばみんなの思いが、実際の相場を決めていく
市場原理が働いているのです。
さらに最近では次の二つの大きな特徴が見られます。
(先進国の間の話と思ってください)
その一つ目は、情報拡散スピードの大幅なアップです。
かつては情報が拡散するまでの間に、
その情報を基に大儲けした。と言う話も聞きましたが、
今では世界各地の情報が、瞬時にして拡散していきます。
情報を持っていても、すぐに優位性はなくなってきます。
二つ目はお金の流動化です。
昔は国をまたいで資金を移動させるのは、
規制があり大変でしたが、
いまでは市場参加者が持っている資金は、
あっという間に世界中を移動していきます。
この二つから言えることは、世界中の市場参加者は、
同じ土俵で勝負している。ということです。
ではこれら市場参加者の思いは何でしょうか。
これは昔から変わっていません。
安全・確実に儲けたい。(あるいは損はしたくない。)
これにつきます。
そこで市場参加者は売買をするときに、
その時点の状況が、
自分にとってリスクをとれるか(=リスクオン)、
それともリスクが取れないか(=リスクオフ)を、
判断して取引を行います。
リスクオンの時は、
高金利通貨や資源国通貨、新興国通貨に、
人気が集まり、取引も多くなる傾向があります。
逆にリスクオフの時は、
他の条件は一切無視されて、
目減りしにくい通貨に逃げ込む傾向があります。
我が日本円は、通貨規制が緩やかなことや、
政治体制が安定している。と評価されることが多いため、
リスクオフの時によく避難の対象とされます。
以上から「為替相場を決めているのは誰か」の問いには、
答えは、「世界中の市場参加者だ」となりそうです。
それでは答えになっていない。
とお叱りを受けそうですが、世界は狭くなってきています。
「全員の思いが相場を決めている」で、
大きな間違いはないと思います。
皆さんも為替取引をするときは、
自分の取引が為替相場を決め、市場原理を作っている。
これぐらいの気概で、取り組んでみてください。
2016/04/17 貿易実務の情報サイトらくらく貿易