日常よく使う電化製品が壊れてしまい、大慌て。
今日にでも買いに行きたいけれど、時間がない。
そうだ、アマゾン!!
空き時間にパソコンに向かい、発注すれば、
ほとんど不便を感じることがないほどの速やかさで商品が届く。
ひと安心しながら、つくづく便利な時代になったなと、
感じられた経験はないだろうか?
アマゾンは、2013年にユーザーの注文履歴や検索パターンから、
次にオーダーされる商品を予測し、注文が発生する前に、
あらかじめその商品を輸送機関に乗せてしまうという
予測的配送システムの特許を取得した。
どこかで誰かに自宅での行動を観られているかのような、
アマゾンのこの戦法。物流システム、小売店販売など各業界への
影響はなかなかのものだった。
そして、2016年1月20日、米アマゾン・ドットコムは、
商品の自動注文システム、
「Dash Replenishment Service(DRS)」の開始を発表。
これは、プリンターのインクや洗濯機用洗剤などといった消耗品の
残量や使用期限を、モデルに対応した機器のセンサーが感知し、
ユーザーのアクションを介さず、自動注文されるという仕組み。
IoT(Internet of Things)そのものだ。
顧客はあらかじめサイトからDRSへのサインアップを
しなければならないが、一度設定してしまえば、あとは必要な
タイミングに自動で商品が届く。
これまでアマゾンでは、消耗品注文機器である「Dash Button」を
対応機器の本体前面に設置し、ボタンを押せば発注が完了する
というシステムを導入していたが、今回のDRSは、さらにそれを
一歩進化させたかたちだ。
今回DRSがスタートするのは、プリンターのブラザー工業、
洗濯機の米ゼネラル・エレクトリック(GE、洗濯機)、
血糖自己測定器の韓国フィロシスなど。
さらに、同社はパートナー企業として、浄水器の独ブリタ、
食洗器の米ワールプール、ハンドソープの米ピュルレや、
電子錠の米オーガストホーム、ペット用食器の米オーブなどと
提携したことを発表している。
DRSを導入した機器ではどんなことが可能となるのか、
もう少しわかりやすい例をあげてみよう。
例えば、スマートフォンでドアの開錠と施錠ができる、
オーガストホームの電子ロックシステム。
DRSが交換電池を自動注文するため、
外出先からのセキュリティ管理がより便利になる。
また、オーブのペット用食器の場合、センサーが食器内の
ペットフードの残量を感知。
残り少なくなると、顧客が指定しておいた商品を自動的に
配達してくれる仕組みとなっている。
同社は、
「コネクテッド・デバイスに消耗品の注文を任せられるため、
顧客の日常生活がスムーズになるうえ、機器メーカーにとっても、
自社製品に再注文の機能を容易に組み込むことで、
顧客ごとの異なる製品の提供を即座にできるようになる
メリットは大きいはず」
と説明。
今後、家電のみならず法人企業へのシステムの
セールスもどんどん行う方針だ。
人の手を介さずに様々なサービスが受けられるIoTの未来は、
どんな色をしているのだろう。
そこで人々はどんなふうに暮らしていくのだろう。
どうやらそんなことを真剣に考えなければならないような、
アマゾンの快進撃である。
2016/3/15 フリーライター 蛭川 薫