こんにちは。
日本はお正月気分も終わり日常のペースに戻った頃でしょうか。
今回はケニアの第二の通貨とも言われている電子マネー(前編)
についてお便りをしたいと思います。
まず電子マネーについて、日本とケニアでは少し定義が違います。
日本の電子マネーとは
電子決済サービスを意味し、
現金の代わりにあらかじめチャージされている
もしくはクレジットカード機能をもつ、
カードやスマートフォンなどで支払いが出来る電子通貨をさします。
ケニアでは電子マネーを「M-PESA」と呼んでいます。
Mは携帯の「Mobile」
PESAはスワヒリ語で「Money」
を意味するそうです。
M-PESAとは
携帯電話による決済サービス、
または送金、出金、預金、マイクロファイナンス
(主に貧困者向けの小口金融または小規模金融)を
提供するサービスをさします。
2007年に学生によりソフトウェアが開発された後、
世界大手携帯電話会社Vodafoneによりケニアでサービスが
開始されました。
現在は傘下であるケニア国内大手携帯電話会社
SafaricomとVodafoneで利用することが出来きます。
とりわけ、ケニアとタンザニアで広く普及し、
現在ではアフガニスタン、南アフリカ、インドでも展開。
2014年には東ヨーロッパでもサービスが開始されています。
私たちに馴染みのないこの電子マネーの仕組みは以下の通りです。
まずM-PESAの取扱店で携帯電話の無料登録を行います
(SIMが旧式であれば有料)。
登録の際は審査等もなく、携帯電話(SIMカード付)と身分証明書
などの簡単な書類で完了します。
登録後は、取扱店でお金をデポジットとして預けるだけで、
携帯電話のSMSを使って各種サービスを利用することが出来ます。
お金の管理は銀行と同じくPINナンバーで行いますが、
銀行口座のような維持管理費はなく、
取引額による変動手数料が発生します。
それゆえ、少額の取引であれば銀行と比べて安価と言われており、
ケニアでは多種多様な用途で広く普及しています。
当初の具体例として、都市部では所謂「出稼ぎ者」が多く、
稼いだお金を故郷に住む家族への送金手段として、
一方農村部ではその送られてきたお金の出金や
マイクロファイナンスの享受方法として用いられていました。
現在は決済にも多く使われ、
特に都市部では公共料金の支払い、
スーパーマーケットやショップでの買い物、
病院、ドラックストア、ガソリンスタンド、レストラン、花屋、路面店
での買い物、
オンラインショッピングなどあらゆる生活の場面でM-PESAが
利用されています。
余談ですが、当初M-PESAのサービスはマイクロファイナンスの
トライアルとして、銀行口座を持てない貧困者へ融資サービスを
提供し彼らの社会復帰を促す目的で始められたと言われています。
ちなみに上記の仕組みについて、日本ではLINE Payが類似した
サービスを開始していると聞いています。
それゆえ、LINE Payの普及について、M-PESAがケーススタディー
として使われることもあるそうです。
先進国でしか通用しないと思われる電子マネーのM-PESAが
なぜ発展途上国においてこれほど発達したのか、
後編にてその理由と
今後のビジネスチャンスについても考えてみたいと思います。
2016/1/18 E W Africa, Schema Corporation